PACIFIC WAY

 フィジー暫定政権の今後
   −カリスマ性なきリーダーへの期待と不安−

(社)太平洋諸島地域研究所研究員
山桝加奈子(やまます かなこ)


 5月19日のクーデターの後、ライセニア・ガラセが新しい暫定政権の首相に選ばれた。この前銀行家のことを少しのカリスマ性も持ち合わせていないと批判する者もいる。しかし政権をスタートさせてからの彼の仕事ぶりや内閣に提示した任期2年間の膨大な計画に人々は目をみはり、優柔不断な政治家のもとで何年もすごした国民は彼のような官僚的人物のほうが、大きなことを言うが果たせないカリスマ的政治家よりもよいのではないかと、思いはじめているようだ。

 クーデターの首謀者スペイトは、イギリスから残されたコモンウエルス型の民主主義は葬り去られた。民主主義や憲法はフィジー人の政治的優位を保障したものでなくてはならないと述べ、依然全フィジアンの政権を望んでいる。これに対し、憲法学の権威であるオーストラリア国立大学のブリジ・ラル (Briji Lal) 博士は、「憲法や民主主義が問題なのではない。『近視眼的な権力亡者』がルールに従おうとしないだけだ」とスペイトを痛烈に批判している。また南太平洋大学のスティーブン・ラツヴァ(Steven Ratuva) は、2年の暫定政府の後、再び1990年憲法のような(フィジアン優位の)民族的制限のある選挙制度をもつアパルトヘイト憲法が成立し、インド系フィジー人は野党に追いやられ、首相や重要な大臣、外交的地位に就くことは制限されると予測している。

 しかしフィジアンすべてがそう望んでいるわけではない。前政権のスピード副大統領はこの予測に驚き、「1990年憲法のもとでの経済・社会・政治状況は、フィジアンにとっても良いことはなく、苦しかった」と述べ、過去への全くの逆戻りには否定的である。

 では1997年憲法のなにが悪かったのだろうか?97年憲法はそもそも「極端な(かたよった)民族的立場から離れるため」のものだったはずだが、根底にある緊張を解決するには無力だった。

 97年憲法はランブカやレディなどの立場を異にする政治家が合意を目指し、話し合い、妥協し、譲歩を重ねて作り上げたものだった。この憲法を機能させるには、その政治的背景を理解しなければならなかったが、チョードリーには、そのような配慮が欠けていたと思われる。

 経済的にインド人に後れをとっていたフィジアンは、インド系首相が誕生したことで政治的優位も失ったのではと不安におちいった。さらにチョードリー首相の中庸から離れていくように見える政治、妥協の少ないやり方は彼らの民族的危機感をつのらせる結果となった。

 それでは新しい首相のガラセは政権を安定させ、民主主義を取り戻すことができるだろうか?彼はフィジアンのために働きたいと望んでいる一方、他のコミュニティの恵まれない階層を無視することは決してないと約束している。彼のやり方は包括的で、内閣の決定も彼の力で押し進めるというよりもコンセンサスによって行われるように見える。しかしフィジーの紆余曲折は西洋的民主主義がフィジー的民主主義に変容し定着する過程であり、安定にはまだまだ時間がかかるであろう。この政治経験のない彼がこの仕事をやり遂げ、これからのリーダーのモデルとなり得るかどうか注目していきたい。

 そこでガラセ政権の今後を占うためにリヴュー誌 “The Review”8月号.2000に掲示された特別インタビューを紹介する。
 
Q1. 政治家が首相になるべきだと言われていましたが、なぜあなたは自分が適任であると思うのですか?
 A.いろいろな考え方がある。政治家は政治的見地でのみ就任しがちだが非政治家はもっと広い見地で就任する。重要なのは、首相は良きリーダーシップという資質と十分な常識を備えているべきであるという事である。首相は国家の将来像を持ち、決定を下す意志を描き、目標を見定め、臨機応変に対処しなければならない。政治家だけがこれらの資質を備えている訳ではない。私が適任かどうかは私の仕事と、今後2年間の内閣にかかっている。
 
Q2.この内閣は有望ですか?
 A.歴代の内閣の中で最高のものであると確信している。
 
Q3. 閣僚にナショナリストも含めた訳は?
 A.内閣にはいろいろな考え方を入れることが大切である。これについて批判があることは知っているが、彼らは豊富な経験を持っている。
 
Q4. ランブカ元首相を登用する考えはありましたか?
 A.いいえ、まったくなかった。私からの働きかけも、彼からの申し出もない。彼が政権に戻ることにまだ関心があるのかどうかも私には解らない。我々はすでに閣僚の数が多過ぎると非難されている。
 
Q5. あなたのフィジアンのための計画により、他の候補者をしのいでGCC(大酋長会議)から承認を得たと思いますか?
 A.それが一つの要因だと思うが、どれほど重要かは私は知らない。しかし、最終的には、私の財政的背景と公的活動の経歴が考慮され、大統領が選択したのだ。
 
Q6. あなたのことをカミセセ・マラの手下だと言う人がいますが?
 A.そう言われる根拠がわからない。カミセセ・マラは私の最初の酋長 (Chief)なので、彼に忠誠心を抱いているが、彼が私の暫定政権に影響を及ぼすのではないかという推測は全く根拠のないものである。私の知るかぎり、彼はラケンバ(Lakeba)で引退生活を楽しんでおり、政府運営に手を出すことはおよそ考えていないと思う。

Q7. あなたはフィジアンの平民出身の首相だが、これはフィジアン平民のための突破口になるでしょうか?
 A.民主主義国では人々は公職に選ばれ、身分の違いを越えて誰もが酋長と同じくその機会を持つので、今後もさらに多くの人が首相のような重要な地位につくであろう。それは数の問題である。酋長よりも平民の数が多いので、トップの地位を得る機会もその分より多くなるということである。
 
Q8. 過去30年間の酋長による統治で人々は不幸であったように見えるのですが?
 A.いろいろな酋長がことなるやり方をしてきており、よいやり方で人々を幸福にした酋長も、悪いやり方だった酋長もいただろう。
 
Q9. あなたの政府は一般のもしくは貧しい地方のフィジアンを助けるために何をするつもりですか?
 A.どの民主主義国にもエリートが存在する。フィジーにはフィジアンとその他の民族のエリートがいる。彼らは国家の将来像や革新の意志を持った人物であり、彼らは国を前進させる人物として期待される。多くのフィジアンの一般人や貧しい人々、他のコミュニティの同様のグループの発展のために、政府は資源(富)の再配分と通じた介入を行うだろう。
 
Q10. モナサブのような過去の不正をどうやって正しますか?
 A.同様のケースに備えて、政府は土地問題裁判所の設立を提案した。この裁判所の利点は、政治の場とは離れて問題を処理できるということで、裁判所のメンバーが有能であれば公正かつ迅速に解決することができるだろう。新たな計画で原住民の資源(native resources) が使われるとしても過ちは繰り返されないだろう。

Q11. 法律や規則はコントロールされていますが、軍や警察のこの行為に満足していますか?
 A.私たちは1987年や今年の5月19日の事件(クーデター)は非常事態だと認識しなければならない。私にはこのような状況を軍が予期できたとは思わない。このような異常で危険な状況下で軍はよくやった。
 
Q12. 軍や警察はクーデターが5月19日に行われることを知っていたと推測されるが、その情報は知っていますか?
 A.いいえ。
 
Q13. あなたの政府に不満を持ち、ゆさぶりをかける計画を立てている者がいるという噂がありますが?
 A.いいえ。それは初耳だ。

Q14. 軍(セキュリティ・フォース)を支援しますか?
 A.疑いなくそうである。
 
Q15. ジョージ・スペイトのグループをどのようにあつかうつもりですか?彼らが解放された後の反対活動を恐れていますか?
 A.法律が決めることだ。私たちは法の支配のもとにある。
 
Q16. 彼らに仕事を与えて和解を図るつもりですか?
 A.一般的になにもしないだろう。
 
Q17. あなたはTVでスペイトらは動くのが早過ぎた、変革は進行中だったと発言しましたね。
 A.私は、連立政権は5年の任期満了前に崩壊するという可能性について述べただけだ。連立内部には不協和音があり、5月の会期中にもチョードリーに対する不信任投票がおこなわれそうだった。私の得た情報によると、(彼に)後任のチャンスは相当あつたからである。
 
Q18. 前大統領はもっと早く動くべきだったと思われますか?
 A.それは仮説にすぎない。
 
Q19. もし政府が倒れていたら、続く総選挙で戦っていましたか?
 A.いいえ
 
Q20. チョードリー政権の誤りだと思われる政策に関心を示していましたが........。
 A.ALTA問題について、チョードリーはNLTBやGCCの要望にまったく無神経だったと思う。フィジアン・コミュニティからの信号は国民全員のために注意すべきだ。驚いたことに、彼には政府とフィジアンの要望を仲介、調停する努力が見られなかった。土地使用料に関しても彼は、フィジアンの儀礼や手続きに従わなかった。  
 提案はまずFAB/NLTBに提出され、次にGCCと地方議会に諮るべきだった。これらはデリケートな問題である。どんな政府であろうと(インド系優位、フィジアン系優位どちらでも)儀礼や続きに従うべきだというのが私の助言だ。チョードリーがこれに従わねばならない法的要請はないが、そうしていたら事態違っていただろう。
 
Q21. 後になってみると、ALTAと土地使用料問題は彼の最大の誤りだと思いますか?
 A.それらはフィジアンの見地からすると決定的なことである。また地方議会とフィジアンのFDBローン計画のための150万ドルの予算削減問題も重要であった。150万ドルは小さな額であるがフィジアンの反発は大きく均衡を崩すものとなった。特にさとうきび農家への潤沢な割り当てはフィジアンの気に入らなかった。
 
Q22. 多くの場合、おどしだと受け取られたように見えます。法案は可決しなかった。フィジアンを怒らせたのは、やはり儀礼を欠いた彼の態度に多くの原因があると思われるのですが。
 A.私もそう思う。フィジアンは我慢強く、普段はこれらのことにも黙っているが、彼らは繊細だ。おどしが真実か否かは関係ない。要はフィジアンがそれを真実だと受け取ったということだ。
 
Q23. フィジアンの後進性(backwardness)はフィジアンの政府の30年に渡る統治の結果では?
 A.フィジアンの後進性は複雑な問題である。それはフィジアンの伝統や文化、教育や訓練、イニシアチブ、商業的積極性、競争心などに関係する。これらの問題はすぐには解決できない。彼らはゆっくり発展するのだ。しかし政府は必要な時に適切な手段で介入することにより重要な役目を果たすことができ、これこそが私の内閣でやりたいことである。前フィジアン政府はもっとフィジアンのことを考えるべきだったという意見に私も賛成だが、フィジアンの優先権には同意しかねる。後進性からの脱出はフィジアン自身にかかっており、彼らは一生懸命働き、イニシアチブをとり、商業的に積極的にならねばならない。
 
Q24. フィジアンリーダーは有権者よりフィジー社会のエリートを気にかけているようですが......。
 A.彼らは優先権を持っている。我々はそれにより利益を得ているが、またネガティブな影響も受けている。
 
Q25. そこであなたは同じ撤は踏まないと約束するのですね?
 A.前のフィジアン政権のようにはならない。私は草の根の人間であり、低所得者層の暮らしを改善したいと思っている。
Q26. あなたは1997年憲法では人々は幸福になれないと言っていましたが、どのような点についてですか?
 A.1997年憲法にはいくつか良い条項があり、それらは新憲法に組み込まれることを望んでいる。社会正義の条項(social justice section) は最良だ。しかし、彼らのために差別撤廃条項があり、それについて政府が支出することをフィジアンに納得させるまでに至っていなかった。もしそれがなされていたら、歓迎されていただろう。これは他のめぐまれない階層を無視していない。
 このコンパクトは商業的・経済的権力を異なるコミュニティに公平に分配しようとしている。しかしこの重要な原則を達成する方法については沈黙している。同時にコンパクトは政治権力の公平な分配を定め、これは達成された。私は大酋長会議に関する条項を強化し、政治や一般福祉に役立つようにしたい。
 複数政党内閣の概念は見直しが必要である。異なる政党を憲法によって一緒に働くことを強制するのは間違っている。政党の連立は自由選択にすべきである。選択投票制は、複雑になり行われるに違いない。多くの人がこの制度を理解できなかった。それにより政党への権利を放棄することになれば民主主義の堕落である。
 また、司法に政治家が関与(判事の任命など)することも反対である。裁判官は独立した存在であるべきだ。
 
Q27. 一定の公職はフィジアンに限られるべきだという示唆についてはどう考えますか?
 A.憲法検討委員会が設置されたら多くの意見が出るだろう。まだなにも言いたくない。
 
Q28. 議席配分については?
 A.議席配分は常に興味深い問題であるが、私はドラスティックな変更は期待していない。数はフィジアンに有利であるが、彼らはもっと多くを望んでいる。全人口におけるフィジアンの割合は増加し続けているため、これが議席増加要求を正当化する理由となっている。
 
Q29. もし1997年憲法のもとで望まれていた結果〜SVTとNFPの連立政権〜 が誕生していたら、だれも不幸ではなかったと言う意見がありますが?
 A.もしそうなっていたとしても、この憲法の持つ弱点により、遅かれ早かれ将来の行政に問題が起きたであろう。
 
Q30. 権力闘争によって起きたと言われるフィジアン内部の分裂がチョードリーの権力を強める原因になったのでは?
 A.先の選挙に関する限りその意見は正しい。フィジアンは3〜4の政党に分裂しその結果、票は割れ、結末はご存じの通りだ。

Q31. なぜ分裂が起きたのでしょうか?
 A.それはフィジアン・コミュニティ内の民主主義発展のプロセスのひとつだったのだ。負の結果だったが、長い目で見れば良い発展をもたらす。フィジアンはいまや、フィジアン政党は団結すべきであるという強い示唆をそこから学んだのだ。もし再び分裂が起きたとしても、経験を生かした前向きなものとなるだろう。
 
Q32. しかしフィジアンの団結は争点の多様化した現代社会では困難では?
 A.フィジアン政党は多過ぎる。主要政党2つが理想の状態である。1つだけでもよくない。同一コミュニティ内には違う意見が存在すべきである。
 
Q33. フィジーにとって理想の政府とは?
 A.多くの人が調和のとれた政府を作るべきだと言うが、どうやって作ればいいかは誰も知らない。多くの違いが存在しており容易なことではないが、目指していきたい。
 
Q34. あなたは内閣の全面的な改革を目指していますか?
 A.多過ぎる変革は良くないだろう。わたしには2年の任期しかなく、実行しなければならない膨大な仕事があるからだ。
 
Q35. あなたの任期を延長することは考えていますか?
 A.現在の時間枠でフィジー全体と国際社会に受け入れられる憲法を準備できるはずだ。憲法には多くの協議 〜 特にフィジアンコミュニティ内 〜 が必要なのでこの任期では厳しいが、期間内にすることが決められているのだ。私たちが立憲民主主義にもどるのは早ければ早いほど良い。それは国民の大多数の想いに違いない。なぜなら私たちは民主主義が好きで、それが実現されることを望んでいるからだ。
 
Q36. あなたの「フィジアンのための青写真」(blueprint for Fijians)が上手く行くと、どのくらい確信していますか?
 A.開発計画は実際的なものなので上手く行くだろう。そのための予算は国家予算の4〜5%にすぎないので達成可能である。人口の51%のための配分として法外な額とは思わない。
 
Q37. 暫定政権の短期間で多くの案を望む結果にできますか?
 A.多くは財政支出が必要であり2001−2年の予算で割り当てられる。
 いくつかは、法整備が必要となる。かならず実行できるだろう。
 
Q38. フィジアンがビジネスをすることは重要ですか?
 A.フィジアンの商業参加推進のため、マクロとミクロ2つの計画をたてている。マクロレベルではフィジアンホールディング社(Fijian Holdings) やヤサナホールディング社(Yasana Holdings Limited)などが先例となる。ヤサナに資金を提供し成長させフィジアンホールディング社業がしてきたように投資をする。おそらくより多くの国家レベルのフィジアン企業設立が必要となる。非フィジアンとの合弁企業も進められるだろう。ミクロレベルでは同族会社、協同組合、個人輸入を促進させる。政府援助はフィジアンのための認可制のFDBローンで行われる。職業訓練や相談サービスを行う職業センターやフィジアン信託資金の設立も提案している。究極の援助はGCCや他のフィジアン統治機関を財政的に独立させることである。  
 現在はすべて政府が配分しているが、おそらく信託基金の設立と資本金の利子利用で資金を供給することができるだろう。
 
Q39. 小規模ビジネスでも公平に補助金を貰えるのですか?
 A.はい。商売を始めたいフィジアンにとっての問題は資本がないことであるから。
 
Q40. これを成功させるために、何か今までとちがうことをしますか?
 A.人は小規模ビジネスと取り引きをする時には、失敗を心配しがちであるが、これはどのコミュニティにもあてはまる。研究によると小規模企業の75%以上が最初の5年間に失敗している。私がFDBで扱った計画のいくつかも倒産しており、そこから多くを学んだ。最も重要なのは計画であった。失敗には経営、商品調達、教育など多くの原因が挙げられる。我々はそうならない。
Q41. 計画には新ビジネスをスタートさせることより、既存のビジネスを獲得することを含みますか?
 A.成功するためには、(フィジアンホールディング社のように)良い業績をもつ既存のビジネスを獲得すべきである。それはヤサナにとって重要である。彼らは冒険をし、ジョイントベンチャーヘと乗り出し新ビジネスを起こすべきである。例としてフィジーTVがある。それは新しい計画である。個人的には、国の長期安定のためには、あらゆる分野にフィジアンが活躍することが重要だと思う。
 
Q42. フィジアンだけが投資できる特別の産業分野を設けるつもりですか?
 A.私たちはまだ特別の割り当ては設けていない。それは容易ではない。それらの分野には常に人がおり、私たちは注意深く進みガイドラインを作る必要がある。
 
Q43. フィジアンを実際に、かつてのタクシー免許や輸入ライセンス販売ではないビジネスに乗り出させるためにはどのようにしますか?
 A.すでにあるガイドラインはフィジアンを産業分野での成功へと導くのに十分とは言えない。私が記憶するに、政府は数年前フィジアン個々人に米や冷凍鶏肉(1トンずつ)の輸入ライセンスを与えた。  
 もし1トンの米を輸入すると、卸売り業者に輸出することで20〜30ドルの利益を得ることができるが、それでフィジアンが生き延びるなどナンセンスである。それは避けたいことであり、時間をかけてガイドラインを見直すつもりだ。フィジアンのビジネス知識、技術の習得には時間がかかるので急ぐことはできない。これは発展である。   
 
Q44. フィジーは待てるでしょうか?
 A.フィジアンをビジネスに向かわせたい訳は、主要な地位に向かわせたいからである。フィジアンホールディング社はフィジーで14の大企業を所有しており、いまや1億5千万ドルまでの輸入収入を生む。 
 これは1989年からで、資本金は政府からの2千万ドルとフィジアンからの1千万ドルだけであり目を見張る業績である。ゆえに私は企業所有を早く促進させたい。

Q45. しかしこのマクロレベルの所有はインド人が経済を支配しているという認識を欠いているとは思いませんか?都市部で目立つ小規模ビジネスや商店はインド人が所有しています。
 A.自信はない。もし現在のような成功しているフィジアンホールディング社のような企業をもう一つ持てば、スヴァにあるビルディングの50%はフィジアン所有となるだろう。私たちが商業銀行を引き継ぐとしたら、国中で使えるようにするだろう。フィジアンは小さな商店を所有できなくても、中心地に大規模な資産を所有するだろう。

Q46. これらの企業からの利益は一般のフィジアンにも行きわたりますか?
 A.フィジアンホールディング社の場合は、数百人の株主は個人株主で、配当金は彼らに渡る。数千人以上は彼らの町やティキナカンパニーズの株主で、利益が上がるとすぐ配当が支払われ、草の根までいき渡る。批判的な人がいるが、彼らは事実を知らないのだ。
 
Q47. フィジアンホールディング社の株主が数百人だけなので、税金を使って無利子の貸し付けを与えたことを考えると、利益の公平な分配が必要だと思われるのですか?
 A.フィジアンホールディング社で生じた利益の公平な分配は常に企業の目的であった。私たちはフィジアンホールディング社に、地方議会への株の譲渡を要請するつもりである。それは地方や草の根への利益分配の方法のひとつである。しかし、フィジアンホールディング社と他の公的企業を比較する時、メンバーシップの見地から見るのは良いことである。FSC(最も歴史のある公営企業)は2千人の株主しかいないしフロールミルズ社に至ってはフィジアンホールディング社の株主数より少ない。そこからフィジアンホールディング社へ の批判は不当なものだとわかる。あなたがたは、売買のリスクから株の所有を望む人の数はかなり限られることを認識すべきである。私たちには選択権がある。株に投資したい者も、儲からなくても銀行に置いておきたい者もいるのだ。
 
Q48. そしてすべて使い果たす者もいる。フィジアンのためのFNPEと平行してあなたが提案している公的貯蓄(救済)制度は興味深いものですが、うまくいくでしょうか?
 A.提案の公的貯蓄制度はうまくいくだろうし、そうしなければならない。一般にフィジアンは貯蓄をしない。事実、私たちは収入の110%を使っている。言い換えれば稼ぎよりも費やしているのだ。これは文化的現象であ。このサイクルを壊すためにこの計画をたてており、実現を望んでいる。フィジーの総労働力は約50%のフィジアンで成り立っており、彼らはサトウキビやショウガ、タロイモ、カヴァ、コプラの農場で働いている。NLTBは土地使用料に2000万ドル以上を得ている。もしフィジアンから2%の所得税を徴収したら、10年後には5000万ドル以上の資金ができると見積もることができる。もしこの資金の使用を生産的投資や教育に制限したならばフィジアンの発展は加速するだろう。
 
Q49. あなたはフィジアンホールディング社とゆ着しており、利権争いが生ずるという批判についてどう思いますか?
 A.私はフィジアンホールディンググループの多くの企業の職を辞任した。利権争いはない。
 
Q50. 前政権はこの問題にしりごみしていたが、あなたは勇敢にもフィジー語の教育を義務付けるべきだと示唆しましたね?
 A.私は国の調和のための省を創設するつもりだ。これは新しい試みである。固有の言語を学び互いに理解できれば、国の調和に役立つ。
 同様のことはヒンズー語にもあてはまる。もし他のコミュニティがヒンズー語を学び会話できれば、国家の統一に役立つ。教育省はそれを目指している。

Q51. フィジーに対する夢はなんですか?
 A.私の夢はフィジーが真の複合民族(multi-ethnic) 、複合文化を持つ社会になることだ。そこでは異なるコミュニティが平和で豊かな調和のとれた暮らしができる。その社会で原住民フィジアンには特別の便宜をはかりたい。またフィジー全体としては年7%の経済成長率を目指し、都市部の低所得者層と同様に、地方コミュニテイの生活水準も引き上げたい。法律や規則を整備しすべての国民が自然環境や資源から恩恵をうけて楽しく暮らせるようにしたい。
 
Q52. 肩にかかる重圧や収入の減少を考えると、多くの人はなぜあなたはこの仕事をしたいのだろうかと不思議に思うのですが?
 A.私自身しばしばなぜだろうと問うことがあるが、理屈では説明できない。私はプライバシーを失い、財産は減り、仕事の重圧は信じられないほどである。しかし私はこの挑戦を受け入れ、常に新しい挑戦を求める立場になった。私は誠実に懸命に働くのが好きだ。私の背景や全コミュニティからの支援によって私は勇気を得て、払わねばならない犠牲にもかかわらず、実行の意志を固めたのである。
 
Q53. 暫定政権の後はどうなると思いますか?あなたは政治の世界に留まりますか?
 A.わからない。私は引退して故郷にもどるつもりだった。政治にはずっと興味がなかったのに、議会で内閣に加わるように説得させられたのだ。暫定政権のために神から命ぜられたのだと信じている。   
 この信念は私にこの仕事をする勇気を与え続けている。暫定政権の後にならないと、その後の進路は言えない。その時故郷にもどるという選択に今は魅かれている。