PACIFIC WAY
     
パシフィック・プラン
地域協力と地域統合の強化に向けて(試訳)

 
苫小牧駒澤大学教授  東  裕


*以下に、「パシフィック・プラン(太平洋計画)」(A PACIFIC PLAN : FOR STRENGTHENING REGIONAL COOPERATION AND INTEGRATION, FINAL DRAFT, PACIFIC ISLANDS FORUM SECRETARIAT)の本文を全訳する。原文は、PIF事務局のウエブページから入手可能である。パシフィック・プランの中で、今後の太平洋地域の安定と発展にとって必要かつ重要な政策とその実施が網羅的に提示され、今後の太平洋地域の政策を考察するに当たって、極めて重要な文書であるといえる。
 
<目次>
T.序文
U.目標と目的
V.リージョナリズム
W.リージョナル・プライオリティ
X.実施戦略
Y.監視と評価
 
 
T 序文
 
1.地域の協力と統合の強化のための「2004年4月のオークランド宣言」によって、並びに太平洋島嶼諸国が直面している諸問題に応えるために、フォーラムリーダーたちは、次のビジョンを採択した:
 
 太平洋地域は、平和、調和、安全、及び経済的繁栄を達成できるし、達成すべきであるし、そして達成するとリーダーたちは信じる。それによって太平洋地域の人々のすべてが自由で価値ある生活を送ることができる。われわれは、太平洋地域の多様性を大切にし、地域の文化、伝統、及び宗教的信仰が価値あるものと評価され、栄光を与えられ、そして発展がもたらされる未来を指向する。われわれは、ガバナンスの質、資源の持続可能な管理、民主的価値の十分な遵守及び人権の擁護と推進によって尊敬される太平洋地域を指向する。われわれは、我々の知識を発展させ、我々のコミュニケーションを改善し、そしてすべての人々のために持続可能な経済を確保するために、我々の隣人だけでなく遠くの人々とのパートナーシップを指向する。
 
2.リーダーたちは次のパシフィック・プランを通じて、そのビジョンを実現することに同意した:
 
@ 経済成長、持続可能な開発、良い統治、及び安全の推進;
A 太平洋地域が、ガバナンス資源、政策調整及び実際的利益の配分を共有することによって最大の利益が得られるような領域での地域協力と地域統合の強化;
B 現在のプログラムへの支持の強化、新たなイニシャティブの展開、及び小島嶼国の必要事項の擁護、とりわけ小島嶼国の限られた能力と気候変動を含む脆弱で壊れやすい環境条件の下で;
C 文化的アイデンティティ、地域的包括性、サブリージョナルな代表、人権、ジェンダー、若者及び市民社会の保護と促進; 
D フォーラム及び地域制度機構の改革;
E 利益とコストの明確な認識とともにフォーラムメンバー自身のリージョナリズムの理解及び評価を明らかにすること;及び
F フォーラムメンバー諸国、太平洋の地域(非独立国)、地域機関及び国際機関と非国家機関との強力なパートナーシップの構築。
 
3.これらの決定に留意するとともに、パシフィック・プランは10年間に及ぶ実施枠組みの中でイニシャティブを確認している。その事業のいくつかは、すでに実施に移されている。パシフィック・プランは、フォーラム諸国とその非国家アクター並びに開発パートナーとの効果的かつ強力な関わりのための枠組みを提供している。
 
 
U 目標と目的
 
4.パシフィック・プランの実施に関わるリーダーたちのビジョン及びその他の諸決定に基づき、パシフィック・プランの目標は:太平洋諸国の経済成長、持続可能な開発、良い統治、及び安全を、リージョナリズムによって刺激し強化することである。この目標を実現するため、パシフィック・プランの戦略目的は以下の通りである:
 
 経済成長
1. 持続可能な貿易(サービスを含む)及び投資の増加
2. インフラ開発及び関連サービス提供の効率と効果の改善
3. 開発への民間部門の参加と貢献の拡大
 
 持続可能な開発
4. 貧困の減少
5. 天然資源・環境管理の改善
6. 健康改善
7. 教育及び訓練の推進
8. ジェンダーの平等の推進
9. 若者の参加機会の促進
  10. スポーツへの参加並びに達成水準の向上
  11. 文化的価値、アイデンティティー、および伝統知識の承認と保護
 
 良い統治
  12. 太平洋の資源管理と利用における透明性、説明責任、公平性、および効率の改善
 
 安全
  13. 安定と安全のための政治的・社会的諸条件の改善
 
 
V リージョナリズム
 
5.パシフィック・プランはリージョナリズム(地域主義:regionalism)の概念に基礎をおいている:すなわち、域内諸国はその共通の利益と個別利益のために協働している。パシフィック・プランの下でのリージョナリズムは、国家主権の制限を含むものではない。それはいかなる国家プログラムにも取って代わることを意図するものではなく、単に国家プログラムを支援し補完するものにすぎない。リージョナル・アプローチは、それが国家の諸努力に価値を付加する場合にのみ取られるべきである。
 
6.パシフィック・プランは、フォーラム諸国、市民社会と民間部門の諸機関、開発パートナー、及びその他のステイクホルダーによるリージョナル・アプローチへの支持に依拠している。その支持は、情報を与えられた支援団体からのみ得られる。そこには、リージョナリズムの利益とコスト、並びにリージョナリズムの取り得る形態についての高レベルでの認識が必要である。
 
リージョナリズムの利益とコスト
 
7.リージョナリズムは、もしそのサービスによって利益を受ける人々の数が増加するとサービスの供給コストを削減することができる。こうした「規模の経済」(economies of scale)は、公共部門と民間部門の双方に発生する。他方、リージョナリズムは、コストの増加につながることもある:例えば、長距離に及ぶモノ、サービス、及び人の移動を要するからである。こうしたコストの増加、すなわち「遠隔性による不経済」(diseconomies of isolation)は、とりわけ太平洋地域のような広大な領域に関連する。
 
8.諸国家が一つの目標達成のために地域的に動くとき−例えば、より良い健康管理−「規模の経済」は、「遠隔性による不経済」に対し、バランスが取られなければならない。最善のアプローチは、いくつかの事例の場合、サブ・リージョナル、すなわちサービスを提供する数カ国のグループによるものであるかもしれない。
 
リージョナリズムの形態
 
9.太平洋地域における地域協力と地域統合の強化へのフォーラムリーダーの期待は、いくつかの全く異なったリージョナリズム概念の考慮を含んでいる。
 
 地域協力(Regional Cooperation):政府間対話またはプロセスの構築。地域協力手段のサービス(例えば、保健、統計、会計など)は国ごとに供給されるが、しかし、しばしば諸国間の政策調整が増加している。これは、合意された戦略−例えば「域内輸送サービスに関するフォーラム諸原則」−または、調整機関を通じてアレンジされた戦略、例えば「オセアニア関税機関」に基づいている。
 
 公共財/サービスの地域的供給(Regional Provision of Public Goods/Services):地域レベルで国家サービス(例えば、関税、保健、教育、スポーツなど)を共同利用すること。各国政府は、いくつかのサービスの日常的管理から解放され、そしてその他の領域のサービスの日常的供給と政策展開に集中できる。例えば、南太平洋大学(USP)を通じて高等教育を提供することで、太平洋島嶼国政府は、各国の独自の国家的必要性のある初等・中等教育の確保により一層焦点を合わせることが出来る。
 
 地域統合(Regional Integration):諸国間の市場障壁を低くすること。これらの障壁は物理的なもの(例えば、国境)であるか、または技術的なもの(例えば、検疫方法、輸入関税、パスポートの要求、等々)である。地域統合は、「規模の経済」を拡大し、そしてそれによって価格を低下させ、より多くの商品を利用可能にすることで、太平洋地域における企業の消費者へのアクセスを改善できる。
 
10.ほとんどどんな地域イニシャティブの道も、たいてい地域協力から始まる。最善のアプローチが、以後より一層の地域統合に向かうか、もしくはサービスの地域的供給に向かうか、またはその両方であるかは、利益とコストの展開と考慮に関する障害のアセスメントに依存している。太平洋地域において、国家レベルにおけるサービス供給能力の制約を克服するための地域的アプローチ、及び市場統合を通じた経済機会の増大が、最大の利益を提供すると期待される。
 
リージョナリズム・アプローチのテスト
 
11.地域主義が、あるイニシャティブに価値を付加することが出来るかどうかについて、3つのテストがある:
 
市場テスト(Market Test):市場が、あるサービスを十分に提供できるか。もし、供給できるなら、各国政府及び/または地域機関による関与は最小限にすべきである。
 
補完性テスト(Subsidiarity Test):各国中央政府または地方政府が、そのサービスを十分に供給できるか。もし、供給できるなら、地域機関による関与は最小限にすべきである。
 
主権テスト(Sovereignty Test):提案された地域イニシャティブが、各国政府によって保有される有効な主権の程度を保持しているか。地域イニシャティブは、地域機関へのサービス管理のみにシフトすべきで、政策形成と同様ではない。地域機関ではなく、各国がプライオリティを決めるべきである。
 
 
W リージョナル・プライオリティ
 
12.パシフィック・プランは、最初の3年間(2006-2008年)、以下の事項との提携と調和に基づく広範な地域イニシャティブを認めている:
(a)リーダーのビジョンと関連する諸決定及び戦略目的;
(b)パシフィック・プランの協議の中でメンバー国とその他のステイクホルダーによって認められたプライオリティ;及び
(c)上記に概観が示された地域的アプローチ。
これらのイニシャティブは、それらの充足が期待される戦略目的並びにそれらの決定と実施に向けた準備の程度に従って、付表A(Attachment A)に詳細が示されている。「即座の実施」の準備が整っているそれらは、たいてい現在の諸活動または権限委託に基づいている、いわゆる木の低いところに成っている果実(low-hanging fruits)である。「原則合意」が要求されるそれらは、十分な提案についての展開と承認を要求するプライオリティである。残りのプライオリティは、地域的アプローチが適切であるかどうか「さらなる分析」が必要とされる。次のイニシャティブに加え、すでに実施に移され強化が必要な、その他の合意された戦略政策とイニシャティブがある(Background Paper 2B)。これらのイニシャティブはパシフィック・プランの地域プライオリティのリストの中で個別的に確認されていないが、それらは地域プライオリティーを補完するものである。
 
迅速な実施のために(2006−2008年)
 
経済成長
・ 「南太平洋地域貿易及び経済協力協定」(SPARTECA)、「太平洋島嶼諸国貿易協定」(PICTA)、及び「経済関係の緊密化に関する太平洋合意」(PACER)の下での商品貿易のための市場拡大
・ 労働力の一時移動を含む、「太平洋島嶼諸国貿易協定」(PICTA)及び「経済パートナー協定」(EPA)への商品貿易の統合
・ 「地域貿易促進プログラム」(RTFP)の時宜に応じた効果的な実施
・ 「太平洋航空安全事務所」(PASO)の展開を含む「地域輸送サービス」(FPRTS)に関する「フォーラム諸原則」の実施
・ オーストラリア、ニュージーランドとフォーラム島嶼諸国の間での貿易(サービスを含む)と経済協力のための包括的な枠組みに向けた動きについての「経済関係の緊密化に関する太平洋合意」(PACER)の下での潜在的インパクトの調査
・ 「地域民間部門機関」(RPSO)を通じた支援を含む民間部門メカニズムの支援
 
持続可能な開発
・ 適切で簡便な太平洋に関する指標を使った「国家の持続可能な開発戦略」(NSDS)の開発と実施
・ 水産資源の持続可能な利用のための地域的な資源の保護と管理の方策の開発と実施
・ 廃棄物処理のための政策及び計画の開発と実施
・ 「太平洋諸島エネルギー政策」の実施並びにすべての太平洋島嶼コミュニティーの持続可能な開発のための利用可能で、信頼性があり、十分な供給量があり、そして環境に悪影響を与えないエネルギー供給に関する同政策関連の「戦略的行動計画」
・ HIV/AIDSとSTI戦略の実施;非伝染病により強く焦点を合わせること;及び保健従事者のリクルートについての合意を含む、「サモア・コミットメント」の下での保健部門へのアプローチの調整
・ 若者プログラムの調整及び若者の現状監視への支持の強化
・ スポーツの役割の発展を支援するための地域スポーツネットワークの強化
良い統治
・ 会計検査とオンブツマン事務局、リーダーシップに関する規程、腐敗防止制度、司法訓練と司法教育を含む司法長官部門といった主要な制度に対する関与を強化するような地域支援
・ 「良いリーダーシップと説明責任に関するフォーラム諸原則」への地域支援
・ 資源管理並びに伝統的価値・構造と近代的価値・構造の調和における統治メカニズムの強化
・ すべての部門についての国家的及び地域的統計情報システムとデータベースのアップグレードと拡大
・ 適切な場での国際的及び地域的人権条約の承認と実施、並びに報告会合及びその他の必要事項への支援
 
安全
・ 海運と航空の安全及び監視のための戦略と関連立法の立案と実施
・ 国際犯罪、バイオ・セキュリティー、及び国家財政情報部門の指導を含む国境安全における「太平洋諸島地域安全技術協力戦略」の実施
・ 法執行訓練(例えば、地域警察イニシャティブ)、協調と献身(coordination and attachments)の強化
・ 自然災害による被害の軽減と管理のための政策及び計画の立案と実施
 
原則合意のために
 
経済成長
・ 生態系に基礎を置いた漁業管理計画の枠組みの策定による持続的な漁業収益の最大化;付加価値を付ける諸活動を含む効果的な漁業開発の促進;そして立法化とアクセス枠組みが調和するための協力 
・ 石油の地域一括購入、備蓄、及び供給のための提案または戦略の展開
・ 域内における観光産業のマーケティングと投資計画の実行
・ 情報通信技術の改善のための域内デジタル戦略の実行(バックグランド・ペーパー3参照)
 
持続可能な開発                     
・ 「太平洋気候変動枠組み2006-2015」及び「太平洋災害リスク軽減・災害管理のための行動枠組み2006-2015」にリンクした災害への適応と軽減の努力の継続;そこには、大衆の啓発、能力構築、及びガバナンスの改善、リスク及び脆弱性のアセスメント、および、純粋な必要性があれば、人口の移動に向けた方策の考慮を含む
・ 教育部門におけるアプローチの調和。これには、以下を含む:中等教育のカリキュラムと試験システムの高度化(職業訓練を含む);域内における卒業証明の標準化;フォーラム基礎教育アクションプラン(FBEAP)を通じた基礎教育のための共同支援;及び「基礎教育普及のための太平洋地域イニシャティブ」(PRIDE)をモデルとして使うこと
・ 保健、船舶運行、接客/観光産業、平和維持、などの分野における機会の利用による域内技術並びに職業教育訓練(TVET)プログラムの拡大、並びに域内訓練プログラムの強化と標準化のための潜在性調査
・ リージョナリズム、低成長経済、平和と紛争、伝統構造、リーダーシップ、ジェンダー特化指標、および地域協力と地域統合を支援するための文化政策に関する特別の研究及び奨学金の支給
・ 太平洋文化のアイデンティティの維持と強化のための戦略展開
 
良い統治
・ 参加民主主義と諮問的決定(NSAs、若者、女性及び障害者を含む)、並びに選挙過程支援のための戦略展開
・ 立法の調整及び/又は共通の周到な能力の追求によるものを含んだ、財政規制への共通のアプローチの展開
 
安全
・ 都市化、バイオセキュリティ及び安全のための計画の展開
 
さらなる分析のために
 
経済成長
・ 医薬品等の主要輸入商品の域内一括購入、備蓄及び配送のための提案又は戦略の展開
 
持続可能な開発
・ 保健、船舶運行、接客/観光産業、平和維持、などの分野における機会の利用による域内技術並びに職業教育訓練(TVET)プログラムの拡大、並びに域内訓練プログラムの強化と標準化のための潜在性調査(いくつかの分野については更なる分析が必要)
・ 域内スポーツ制度の創設
・ 伝統的知識と知的所有権を擁護し保護するための制度の創設
 
 
良い統治
・ 財政及び財政機能の強化並びに経済分析の提供のための説明責任を持った独立のマクロ経済及びミクロ経済技術支援機構(統計を含む)の創設
・ 主として国家サービス及び情報伝達の訓練と展開に焦点を合わせた地域関税収入サービスの設立
・ 「良いリーダーシップと説明責任のフォーラム諸原則」の実施を支援するための地域オンブツマン及び人権機構の設立
・ 統一と監視を支援するための地域会計検査サービスの設立
 
小島嶼国
 
13.小島嶼国(SIS)に特に必要とされることが、パシフィック・プランによってフォーラム事務局の中に小島嶼国の見解を代表する一部門を設立することによって支援される;小島嶼国はパシフィック・プランの展開により十分な利益を享受する;しかも、パシフィック・プランのもとでの小島嶼国の関与の実施に関する実際的な支援と助言がSISに提供される。これは、例えば、雇用、航空、海運、観光業(産品開発を含む)、及びオールターナティブなソフトローン金融設備の設立の事前調査のような分野で、SISが現在及び将来の地域支援の利益を一層現実のものにするための国内能力条項を含む。
 
その他の認められたリージョナル・イニシャティブ
 
14.その他のイニシャティブの範囲は、諮問過程から現れる。新規のものもあれば、進行中の活動に基礎を置くものもある。情報の収集、分析、及び諮問には一層の時間がかかるが、パシフィック・プランの現在進行中の展開に基づき、パシフィック・プランの進化につれて、将来的にこれらは潜在的に豊富な資源を提供する。
これらのその他の認められた地域イニシャティブは、バックグランド・ペーパー2に詳細が記されている。
 
地域統合の未来
 
15.地域統合についての指導者たちの長期目標は、より強固な地域経済統合のためのフォーラム経済閣僚の一体化に反映されている。それは、経済成長と域外世界との関係を構築するための主要要素である貿易に始まる。地域経済統合への環境支援政策の展開において、諸閣僚は、その他の事柄の中で、太平洋の労働市場の問題について更なる検討の必要を認め、その中には地域の内外に及ぶ労働力移動の問題を含んでいる。地域統合についての指導者たちの長期目標はまた、オーストラリア、ニュージーランドとフォーラム島嶼諸国との間での貿易と経済協力のための包括的な枠組みに向けての動きの潜在的なインパクトを調査するための共同研究を委任するフォーラム貿易閣僚決定中の表現に見出される。リージョナリズムの成功のためには成長を刺激するより大きな市場が必要なので、オーストラリア及びニュージーランドとのパートナーシップは、太平洋の地域主義が有効に作用するために決定的な重要性を持つ。
 
 
X 実施戦略
 
16.パシフィック・プランの実施の成功は、フォーラム加盟国、開発パートナー及びその他のステイクホルダーの支援と関与にかかっている。より強固な地域協力と地域統合は国家の開発目的の支援手段であるため、リージョナリズムに関する国家政策と国家戦略の展開と実施はパシフィック・プランのより重要な戦略的目標であり、かつ明確な国家利益の表明と国家レベルでの地域アプローチのための適切なメカニズムとプロセスの構築を含む。
 
17.地域レベルにおいて、パシフィック・プランの実施は、第一に、太平洋諸島フォーラム事務局の責任である。これは、事務局の第一の機能は、彼らの決定の実施において、政策への助言、調整及び助力を与えることであるという、2004年の指導者決定に合致する。
 
18.実施年間中、フォーラム議長が委員長を務め全太平洋諸島フォーラム諸国の代表を含むパシフィック・プラン行動委員会(PPAC)による、フォーラム事務局への政治的監視と指針が提供されるであろう。フォーラム議長(PPACの委員長として)は、四半期ごとにパシフィック・プランの実施について指導者たちに報告する。事務局は、四半期ごとに議長に対し、考慮と宣伝のために報告書を提出する。PPACとパシフィック・プランの進行を支援するために、事務局長代理に直接報告する小規模の実施部門が事務局の中に設置される。
 
19.パシフィック・プラン・イニシャティブの総体的な実施は、PPACのメンバーと協議の上準備され、指導者会合に先立ち議長と事務局長から報告を受け取る指導者たちによって毎年審査される。指導者たちへの報告書は、将来の方向についての勧告を含むことになろう。
 
20.地域機関が、パシフィック・プランの実施において主要な役割を果たすため、それら機関の効率が、パシフィック・プランの実施のために、太平洋地域におけるリージョナリズムの新たな形にとって適切な地域機関の枠組みの展開を通じて最大化されることになろう。最新の枠組が、2006年のフォーラム会合並びにそれぞれの統治評議会に提出される。
 
21.パシフィック・プランの主要な戦略実施と戦略目標は、国家及び地域のステイクホルダーとの強力なパートナーシップの構築である。個々のイニシャティブは、太平洋の諸領域、NSAs、市民社会及び開発パートナーとのパートナーシップを強化するために、アタッチメントA(Attachment A)にアウトラインが示されている。ここには、:域内ボランティアスキーム及び能力構築のための域内交換の別形態の方式の構築;ビジネス部門、学界、メディア及び市民団体からの非国家代表との成果主導の年次プロセスが含まれる。これらは、指導者へのフィードバックと太平洋のリージョナリズムについてのより広い討論の場を提供し、より長期的なパシフィック・プランの方向を提供するためのものである。
 
 
Y 監視と評価
 
22.パシフィック・プランの進行は、パシフィック・プランの戦略目標(アタッチメンBの監視と評価の枠組み)とに合致するイニシャティブの監視と評価によってはかられる。成功指標は、太平洋地域の文脈に適合するように開発され、同時に国家的及び地球的に同意される尺度(例えば、「世紀開発目標」(MDGs))が考慮される。事務局長は、進行に関し独立したフィードバックと助言を提供するため、非国家代表を含むレファレンスグループを招集する。さらに、独立した包括的な進行のレビューが3年ごとに実施される。
 
23.パシフィック・プランは、10年間の大まかな期間を設定しているが、一方で、指導者のビジョンと地域統合の目標がさらに将来に向けて延長されるように柔軟性を持っている。それは、地域の長期的な未来を議論し、形成するための「跳躍台」としてのメカニズムを提供する。パシフィック・プランは、生きた文書であり、現在および将来にわたって、指導者たちと彼らが奉仕する一般の人々の希望を引き出し続けるのである。
 
 
 

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