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谷川寬三

＜会長略歴＞

谷川寬三（たにがわ・かんぞう）

　　　　　大正９年６月24日高知生れ

　　　　　大蔵省を経て、衆議院議員、参議院議員、科学技術庁長官など歴任し、

　　　　　現在(財)アジア会館会長。

　皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

　私はこの度、太平洋諸島地域研究所の総会・理事会において三代目の会長に推挙され、お引き受けすることとなりましたので、平素より研究所の運営に対してご尽力をいただいております皆様方に、ご挨拶申し上げます。
　

　ご承知のとおり、５月16、17日、小泉首相のイニシアチブにより第三回「太平洋島サミット」が沖縄で開催されました。この会議は、イラク戦争、北朝鮮問題、はたまたSARS危機などの国際的問題に隠れて、マスコミなどでの扱いは小さいものでした。しかし、太平洋諸島フォーラム加盟の15カ国から元首級の指導者らが一堂に集まったことに思いを馳せれば、地味ながらわが国の極めて重要な外交活動として位置づけられます。広い太平洋に隣接する日本と島嶼諸国との協力関係が構築されなければ、アジア太平洋地域の持続的な安定と繁栄は実現不可能と考えられるからです。こうした時代的要請もあって、本研究所が果たす役割に対しての期待感が以前にも増して高まっております。それは、本研究所がこれまで重ねてきたこの地域との交流と研究の成果があった結果と言えます。

　私は本研究所の会長としてご挨拶申し上げておりますが、本研究所は今から30年前に財団法人アジア会館を母体として設立されたという経緯から、アジア会館とは親子以上の関係にあります。現在アジア会館は、老朽化のための建て替え工事を行っておりますが、本年７月には新装オープンします。ホテル部門の充実をはかるのは勿論のこと、目下、会議施設を中心にしたアジア太平洋地域との要人交流、青少年育成などの新たな国際交流事業の展開も計画中です。７月にイスラエル・パレスチナの少年グループが来館し、庭に記念植樹してもらおうかと準備しているのはその一例です。アジア会館としても、本研究所の会長としても、日本とアジア太平洋地域との交流事業をさらに活発化させたいとする私の願いは共通しております。

　近年の経済不況や構造変革の方向は、公益法人の公益活動に厳しい環境を強いておりますが、ここは時代に見合う組織構造にいかに組み立て直せるかに尽きます。そのためには、着実な収益事業を確立し、それにリンクした公益事業を行い、両者を車の両輪として進めることが必要ではないでしょうか。私は本研究所の仕事も、こうした事業運営理念の中に位置づけて実行しようと考えております。

　皆様方のより一層のご指導、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げる次第でございます。