PACIFIC WAY

太平洋諸島情報(2002年6月〜9月)      




◆地域全般
 
オーストラリア、太平洋島嶼諸国との経済緊密化協定の締結を準備
 オーストラリア連邦議会の経済緊密化協定に関する検討委員会は、太平洋諸島との経済関係緊密化に関する協定の批准を議会に勧告した。検討委員会はPIFで議題にあがっている自由貿易圏の設置に対し、オーストラリアがこの自由貿易構想に参加しても不利にならないという結論を下している。検討委員会は、あらゆる貿易と投資の障壁の撤廃によって島嶼諸国の産業が不利益を受ける懸念を示しつつも、他方で島嶼諸国が自由貿易への国際社会の動向をもはや止めることはできないと自由貿易圏の設置を肯定している事実を報告している。委員会によれば、同時にオーストラリアとニュージーランドは、島嶼諸国に利益を生むような特別の貿易支援計画が求められているという。他方、太平洋島嶼諸国はACPの一員として本年9月にEUと貿易協定締結にむけた交渉を行うことになっている。
PIR, 2002. 6. 25
アフリカ・カリブ海・太平洋(ACP)首脳会議、ナンディで開催
本年7月、アフリカ、カリブ海諸国、太平洋諸島の首脳たちが、ナンディのシェラトン・フィジー・リゾートに集結し、ACP諸国会議が開催された。議題は経済、発展、環境、安全保障といった一般事項から対EU関係、核廃棄物運搬船、テロ対策などの個別事項にまでおよんだ。一連の会議の成果として、ナンディ宣言が採択された。ナンディ宣言の力点は、以下の4点に集約されている。すなわち、@9月にブリュッセルで行われるACP諸国とEU間の交渉で、経済相互協定の締結に焦点をあわせる、AACP諸国は、世界の平和と安全保障、持続可能な開発、貧困の撲滅およびテロとの戦いに貢献する、BACP諸国の水域内での核その他有害廃棄物積載船の運航停止を即座に求める、C気候変動と海面上昇の速度はいくつかのACP諸国の存続を脅かすものであり、ここに強い懸念を表明する。
(PIR, 2002. 7. 23)
 
多くの太平洋諸島の無人化を予測
カリフォルニアの開発・環境・安全保障太平洋研究所は、このほど出版された著書The World’s Waters, 3rd ed.の中で、気候変動の影響による水不足がこの先50年間に多くの太平洋諸島を無人島にすると指摘している。すなわち、同書の著者ウィリアム・バーンズ氏は、近年のメディアは海面上昇による海岸侵食の脅威にばかり焦点を当てているが、気候変動が与える最も決定的な脅威は水不足にあると主張している。氏によれば、すでに多くの島が深刻な水不足に陥っており、具体例として、サモアでは安全な水を利用できているのは全住民の50〜75%、キリバスでは44%、パプアニューギニアの高地ではわずかに10%にすぎないとしている。その原因として、太平洋諸島の多くの島々が水資源の確保を雨水と地下水に頼っていることをあげ、干ばつによる降水量の減少や海面上昇やサイクロンによる地下水の塩化によって真水の確保が難しくなると予想している。バーンズ氏は、先進国が今後劇的に排出ガスの削減を可能にするのは難しく、効果的な貯水と分配システムの確保を提唱するが、このようなシステムも島の寿命を引き伸ばすにすぎず、究極的には先進国がエネルギー革命を行うしかないと結論づけている。
(PIR, 2002. 7. 26)
 
太平洋島嶼諸国会議開催
太平洋島嶼諸国、オーストラリア、およびニュージーランドで構成される太平洋島嶼国会議(PIF)が、フィジーで8月15日に開催された。17日まで3日間にわたって開かれた首脳会議では、地域の直面した早急に対処が必要とされる課題として、主に環境問題とテロ対策が会議の争点となった。とりわけ、島嶼諸国が直面する最大の課題として議論が展開された地球温暖化問題では、京都議定書の批准を見合わせているオーストラリアに構成国代表の厳しい非難がなされた。一方、テロ対策では、島嶼国のテロに対してきわめて脆弱な状況が再認識され、構成国間の相互協力と連携の強化が確認された。
(PIR, 2002. 8. 19)
 
◆パプアニューギニア
 
国会選挙、過去最悪の結果に
6月に行われたパプアニューギニア議会の総選挙が、運営資金不足、投票および開票の延期、不正、脅迫、略奪、破壊あるいは暴力によって過去最悪の事態となっている。選挙の状況が、6月から7月にかけて連日各メディアによって報道され、とりわけ、伝統的に部族間の衝突が絶えない高地諸州では、支持者間の対立でこれまでに少なくとも30名の死亡が確認されており、その他にも、銃、鉈、ナイフなどで重軽傷を負った者が多数いるが正確な人数は確認されていない。この他にも、脅迫されて投票させられた者、一人で何回も投票を行った者、暴力を恐れて投票を行えなかった者あるいは投票所にいけなかった者が何万人にものぼると報道されている。
さらに投票が行われた後も開票までの間に投票箱が略奪されたり、破壊されたり、あるいは放火された事実が報道されている。たとえば、最悪の地域の一つ南ハイランド州では、80の投票箱のうち45から50の箱が破壊されたか略奪されている。また、政府の人口統計によれば全人口295,031人のエンガ州では実際に集計された全投票数は人口数を大幅に上回る317,213票であった。
こうした原因の一つには運営上の問題、とりわけ資金の不足があげられている。すなわち、運営委員会は資金不足により、十分な警備体制を配置できず、不正、脅迫、略奪、暴力の選挙結果を生じさせたのである。そもそも、運営委員と投票用紙の運搬に利用される予定であったヘリコプター会社が賃金前払いを要求したことにより、支払いのできなかった運営委員会は、投票日を延期する始末であった。こうしてた決定的な資金不足が、投票上の警備、投票後の管理でも十分な対策を講ずることを困難にしたとされている。
最悪の事態を引き起こした高地諸州の15議席の当選者が確定できずに6週間が経過した7月27日、最高裁は、たとえ何議席かが混乱の投票で確定できなくとも7月29日の時点で最大議席数を獲得した政党が次期政権を構成するという判決を下し、事態を収拾した。なお、最終的な当選者については、パプアニューギニア選挙管理委員会のホームページ、http://www.pngec.gov.pg/results/SummaryResults.htmlに掲載されている。
(PIR & the National Online, 2002. June to July)
 
 
ブーゲンビル、旧戦闘員の再武装化
南ブーゲンビルのバナと中央ブーゲンビルのイロで旧民兵組織の戦闘員たちが、独自路線を貫くフランシス・オナをリーダーとしたメッエカムイ(Me’ekamui)に対抗すべく再武装した。この旧戦闘員たちは、国連とブーゲンビル平和監視団の共同監視によって進められていた武装解除計画の下でいったんは武器を放棄していたが、今回武装解除計画本部から放棄していた武器を取り返し、再武装した。こうした再武装を実施させたのは、孤立して独自の政策を進めるオナ氏がバナの非武装地帯の中にメッエカムイ国の標識を打ち立て、進入禁止区域を設置したことに原因がある。オナ氏はモルガンで路上封鎖を行い、バナや中央ブーゲンヴィルからの通行者に移動の制限を課し不法な通行料をとっている。憤慨したバナの人々は、進入禁止の標識を取り壊したが、この報復としてオナ氏は外部からバナへの医療・教育・食料雑貨の供給を封鎖した。その結果、バナの人々はオナ氏への対抗的措置として今回の再武装化に踏み切り、メッエカムイのさらなる勢力拡大と不意の攻撃に備えるためにジャバ水道施設で路上封鎖を行っている。この旧戦闘員の再武装化は、6月17日、シラカタウ長老会議で承認されている。
(PIR, 2002. 6. 25)
 
ゴベ油田土地所有権論争で12年目の決着
パプアニューギニアの抱える土地所有権問題で最も難解な訴訟の一つとされていた南ハイランド州のゴベ油田での土地所有権をめぐる訴訟が、このほど12年の歳月を経て決着した。この結果、ゴベ油田の地元の土地所有者たちはその所有権が確認され、鉱山使用料として総計5千万キナ(およそ1440万USドル)と衡平法上の権利として2千キナ(およそ575万USドル)が支払われることになっている。
(PIR, 2002. 6. 26)
 
財政危機でキナ過去最安値を記録
多くの死傷者や不正行為を生んだ一連の選挙騒動で、パプアニューギニアの通貨キナが過去最安値を記録している。今年に入ってからの政府の抱える財政危機でキナは下落しつづけており、いったんは安定したものの、一連の選挙騒動の結果、6月27日、1キナ=0.2485USドルという空前の最安値を記録した。
(PIR, 2002. 7. 5)
 
ソマレ氏、首相に
議会は8月5日、選挙で最大議席数を獲得した国民同盟党の党首マイケル・ソマレ氏(66)を首相に選出した。ソマレ氏は独立当時の75〜80年と82〜85年に首相を務めた経歴を持ち、今回で3度目の就任となった。ソマレ氏率いる国民同盟党17議席に対して、モラウタ前首相の人民民主運動党は10議席と大敗した。
(PIR, 2002. 8. 5)
 
◆西パプア
 
ティス・エルワイ氏殺害事件に対し軍警察、軍事法廷を準備
 昨年11月の元パプア最高評議会議長ティス・エルワイ氏殺害事件に関する調査が徐々に進行し、被疑者に対する軍事法廷の開廷が準備されている。調査を進めている軍警察は、エルワイ氏の誘拐および絞殺は単なる犯罪行為であるとしており、人権諸団体が主張するような人権侵害を目的とするものではないとしている。軍警察は、被疑者としていずれもパプアの政庁所在地ジャヤプラに駐屯していたコパセス(Kopassus)特殊部隊の兵士9名を軍事法廷にかけることを予定しており、その中には、この部隊の司令官であるハートモ(Hartomo)中佐および副司令官のフタバラット(Hutabarat)少佐も含まれている。
(PIR, 2002. 6. 26)
 
パプア最高評議会の別のメンバーが死亡
昨年殺害されたエルワイ氏に続き、本年6月、パプア最高評議会の別のメンバーが死亡した。今回死亡したのは、バリエム渓谷の高位首長であったヤフェット・イェレマケン(Yafet Yelemaken)氏であり、自宅で死亡していたところを発見された。イェレマケン氏は死亡前夜、ワメナ部族評議会でのディナーに出席しており、この時もコパセス特殊部隊の兵士が警備にあたっていた。イェレマケン首長は、2000年10月にワメナで起こった反インドネシア暴動を扇動した罪で8ヶ月間拘留された経緯がある。死亡理由に関して現地の病院は心臓発作であったとしているが、いくつかの人権団体は毒殺とみている。遺族の拒否によって検死解剖が行われなかったため、死因は明らかになっていない。
(PIR, 2002. 6. 28)
 
インドネシア政府統計、パプアの部族数312
従来非公式に250とされていたパプアの部族数が、このほどインドネシア政府の公式統計によって312と発表された。これは2000年にはじめて実施された公式調査に基づく結果である。しかし、現地ジャヤプラにあるセンドラワシ(Cendrawasih)大学の人類学者マンソベン博士は、この政府統計に疑問を投げかけている。すなわち、博士は10名以下の構成員しか持たない部族が9もカウントされていることに対し、「部族構成員数の最小限の定義というものは無い。しかし、4名しかいないということは信じることができない」と発言している。そして、政府統計が親族関係や起源を部族の決定要因としているのに対し、博士は言語集団を要素として部族を定義することがよりよい方法であると主張している。
他方、この統計によれば、先住民系がパプア州全人口2,233,530人の65%を占めていることが明らかになっている。これは過去32年間に及ぶスハルト前大統領の政権下で、インドネシアからのいわゆる越州移民がパプアへの移住を奨励された結果であり、ソロングの沿岸地域などではインドネシア系が住民の72%と圧倒的多数を占めている。パプアは1960年代まで各々の部族が基本的に外部との接触なく孤立して伝統的な生活を営んできた。そのため、インドネシア移民の流入は、ときに暴力的な衝突を生じ、社会を不安定にしている。同統計によれば、先住民系は所得労働者全体のわずか32.75%を占めるに過ぎないとされている。
(PIR, 2002. 7. 19)
 
赤痢の蔓延で24人が死亡
 パプアニューギニアとの国境近くのジャヤウィジャヤ地区でアメーバー赤痢が蔓延している。とくに同地区のキウィロク(Kiwirok)では村民の大多数が影響を受けており、これまでに24人が死亡している。同地域は険しい山岳地帯であり、赤痢流行の要因を調査するのも困難で、死亡者数がさらに増加することが懸念されている。
(PIR, 2002. 7. 23)
 
人権団体、通信活動を妨害される
パプアで人権擁護活動を展開している人権団体エルシャム協会(Elsham Organization)が、すべての国際電話送受信を停止されている。テレコム・インドネシア社は、エルシャム協会の国際通話が一時的に停止されていることを確認している。エルシャムは、人権活動家やNGOのボランティアたちが親インドネシア民兵組織から受ける攻撃が激しくなっていることを訴えており、この攻撃はパプア独立擁護者に対する政府の厳重な警戒の一部であると主張している。
(PIR, 2002. 7. 24)
 
◆ソロモン諸島
 
ウェザーコーストで銃撃戦、11人が死亡
ガダルカナル島のウェザーコーストで、6月初め銃撃戦が起こり、11名が死亡した。ウェザーコーストは、地形の起伏に富んだほとんど開発がなされていない地域であり、ハロルド・ケケ(Harold Keke)率いる民兵組織ガダルカナル解放戦線の拠点となっている。ガダルカナル解放戦線は、20世紀末に起こったガダルカナル人とマライタ人の民族紛争を終結させた平和協定に調印せず、依然として武装解除を行っていない。ベンジャミン・ウナ警視総監は調査の結果として、今回の銃撃戦は、ケケ氏を捕らえることを目的にホニアラから高速艇でウェザーコーストに向かった者たちとガダルカナル解放戦線との間で起こったことを明らかにした。ホニアラを出港した者たちは、もしケケ氏を捕らえれば、政府に報奨金を要求するつもりであったのであろうと予測している。総監によれば死亡した11人のうち、10人がホニアラを出発した者たちで、1人がケケ氏率いる民兵組織の者であるという。ソロモン諸島放送協会によれば、信頼できる情報源として、この背景には20世紀末に国家を荒廃させた民族紛争を誘発させた黒幕が誰であるかの決定的な情報をケケ氏が握っているために、ケケ氏には1千万ドルの懸賞金がかけられているからだとある政府高官が語ったという。
(PIR, 2002. 7. 1)
公務員のストライキが全国規模で拡大
20世紀末に起きた民族紛争後、慢性的な財政赤字に苦しむソロモン諸島では、給料の支払い遅延に対して医療・教育分野で公務員のストライキが全国的に拡大している。教育界では、教師たちが1ヶ月の給料支払い遅延に対してストを決行し、ホニアラの多くの学校で第三学期を始められない状態が続いている。また、医療分野でも、やはり1ヶ月の給料未払い状態に対し、医療協会のメンバーが7月10日よりストに入った。これまでにも、給料支払い問題と慢性的な法と秩序の不安定を理由に多くの病院から有能な医師たちの国外退去が続いているという。ソロモン諸島公務員労働組合は、すぐに給料の支払いがなされなければさらに2000人を超える公務員がストを決行するであろうと政府に警告を発している。
(PIR, 2002. 7. 11)
 
3月に死亡したNZ外交官、事故死と判明
今年3月、当時他殺として報道されていたNZ外交官ニコルス氏の死亡事件が、ニュージーランドの科学捜査班の調べで、異常な状態での事故死であることが判明した。この調べによれば、ニコルス氏は、当日、自宅ガレージで重い箱を狭く不安定な通路をよろめきながら運ぼうとしていた。その時同時に彼女は肩に手提げカバンをかけており、その中には刃渡り14センチのナイフが先を上に向けた状態で入れられていた。この状態でつまずいた彼女は、肩に下げたカバンを下に圧し掛かるようにして倒れ、中に入っていた包丁が彼女の胸に突き刺さったという。オークランドの病理学者サイモン・スティブルズ博士によれば、その傷はもし彼女が自分で引き抜かず、すぐに集中治療を受ければ助かっていた可能性が高いことを表明した。これらの調査を受けて、6月、ホニアラの治安判事裁判所は、ニコルス氏の死亡は異常な状況下での事故死であると確定を下した。
(New Zealand Herald online, 2002. 7. 17)
 
日本、漁業援助再開
日本政府は7月、ソロモン諸島への漁業援助を再開し、協定の覚書が漁業海洋資源大臣と日本海外協力基金の代表との間で調印された。この協定にしたがって、ソロモン諸島に製氷機、冷蔵庫、小型漁船、発電機などの漁業器具を修理、保存するための作業場が建設される。また、同時にこの作業場は、漁業に興味を持つソロモン諸島民の漁業技術教育にも利用される予定である。
(PIR, 2002. 7. 18)
 
財務局、2度にわたって一時閉鎖
大蔵省の財務局は、度重なる財政の危機的状況から、7月30日、事務所を閉鎖した。ソロモン諸島放送協会の報道によれば、先週、給料の支払いを求める人々が、財務局の職員に対して脅迫、攻撃をする事件が起こったためであるという。この事件に先立ち、2週間前にも同様の理由から財務局は1週間にわたって閉鎖されていた。
(PIR, 2002. 7. 31)
 
◆フィジー諸島
 
ガラセ首相、公金濫用で告訴される
 フィジーのガラセ首相他11名の閣僚が、選挙で当選するために1600FJドルの公金を濫用したとして、高等裁判所に告訴されている。ガラセ政権は2000年のクーデターの後、暫定政権を導くために軍の後押しで首相の座についていたが、昨年8月に行われた選挙で勝利し、現在は民主的手続にしたがって政権についている。自らも告発されているクナツンバ(Kunatuba)農業省事務次官は、ガラセ暫定政権は当時、選挙をにらんで、フィジー人を中心とした彼の政党SDLの支持者に無料で農業器具を提供していたことを供述している。しかしながら、ガラセ首相とSDLの党員は、それらは先住民系のフィジー人とロツマ人の発展に関する政策の一環の農業支援として行われたものであると反論し、一貫して公金濫用を否定している。
(BBC News online & PIR, 2002. 6. 24)
 
駐フィジー大使に飯野建郎氏が着任
日本の新しい駐フィジー大使として飯野建郎氏が、6月25日、スヴァの政府庁舎でイロイロ大統領に信任状を奉呈した。飯野氏はこれまでもフィジーや太平洋諸国に深くかかわってきており、フィジーに日本大使館が建設された1979年当時も職員として勤務していた。その後もフィジー、オーストラリア、パプアニューギニアなどで外交関係に携わっていた。大使はフィジーと日本の関係強化に強い意欲を示している。
(PIR, 2002. 6. 27)
大酋長会議議長の任期拡大
フィジーの政治に大きな影響力をもつ大酋長会議議長の任期がこれまでの1年から3年に拡大された。これはガラセ首相によって内閣に提案されたものであり、承認された結果、現職のラツー・エペリ・ガニラウ(Ratu Epeli Ganilau)議長の任期は2005年まで延長される。大酋長会議の新しい会議場がスヴァに建設される予定であり、来年5月に着工さし、2004年に完成する予定である。
(PIR, 2002. 7. 1)
 
カンダヴ島、水不足で非常事態宣言
スヴァの南方90キロに位置し、フィジーで4番目に大きな島であるカンダヴ島の政府機関で7月、水不足による非常事態宣言がなされた。この宣言の発令によって、カンダヴに居住するおよそ1万人に、政府の行政サービスの提供が一時停止される。
(PIR, 2002. 7. 4)
 
◆ヴァヌアツ
 
土地審判所設置
このほど首都ポートヴィラから北北西約250キロに位置するヴァヌアツ最大の島エスプリッツサントに土地紛争の調停を任務とする審判所が設置されることが決まった。土地紛争はヴァヌアツの開発計画にとっての最大の懸案となっており、とりわけ、エスプリッツサント島は国内最大の慣習的土地問題を抱えている。審判所設置の決定を受けて、現在、同島では100名を超える首長たちが審判所運営の方法について指導を受けている。
(PIR, 2002. 7. 12)
 
核廃棄物積載船の運航に関して日本とイギリスを非難
日本を出港してイギリスに向かって核廃棄物を運搬中の船舶がヴァヌアツの排他的経済水域を通過するであろうというグリーンピースの報告を受けて、ヴォホール(Vohor)副首相は、ヴァヌアツの主権侵害であるとして日本とイギリスを非難する声明を発表した。さらに政府のスポークスマン、ヒムフォード(Himford)氏は、イギリスの高等弁務官事務所および日本の大使館の両方が核廃棄物とその運搬船舶のルートについてなんらヴァヌアツ政府へ報告せずにいるのは先進諸国による典型的な蔑視行為である、と強い非難を表明している。
(PIR, 2002. 7. 17)
 
ソープ前首相、不正行為で3年の禁固刑確定
ヴァヌアツ最高裁は、ソープ前首相が首相在職中に単独で行った2千万ドルに相当する政府保証契約の不正行為事件に対し、禁固刑3年の判決を下した。政府保証契約の場合、ヴァヌアツでは財務大臣の署名および議会の承認が法的要件となっている。
(PIR, 2002. 7. 22)
 
◆ニューカレドニア
 
カナク人とウォリス人のコミニティ間闘争で3人目の犠牲者
昨年12月からヌメア郊外の町セント・ルイスで続くカナク人とウォリス人のコミニティ間の一連の闘争の中で、6月、3人目の死亡者がでた。今回犠牲になったのは、ウォリス人のペテロ・モツク(Petelo Motuku)さん35歳で、自家用車を運転中、セント・ルイスで不定期的に続く銃撃を背中に受けてまもなく死亡した。モツクさんの葬儀が6月13日にヌメア郊外で行われ、深い悲しみの中で遺族の一人が参列者を前に「ペテロは平和のために死んだ」と発言し、暴力の停止と早期和解を求めた。
一方、今回の銃撃で、セント・ルイスカトリック小学校と同幼稚園の食堂の壁にも数発の銃弾が打ち込まれ、一時学校が休校した。教育機関が発砲の対象となったのは今回が初めてで、6月16日からの開校に伴ない、警察と軍が警備にあたっている。
(PIR, 2002. 6. 19)
 
新健康保険制度施行に対するデモ活動激化
 本年7月1日から新健康保険制度が施行されるにあたり、新制度の撤回または延期を求めるデモ運動が激化している。この新しい社会保障制度は、市民にこれまで任意であった健康保険への加入を強制的に義務付けるものであり、自営業、中小企業、学校関係者の激しい反発を生んでいる。この結果、6月後半2週間にわたって教員協会がストライキを決行し、およそ1万人の生徒がこの影響を受けた。7月1日は自営業者組合と中小企業連合のメンバーたちがヌメアに集結し、政府に請願をなすべく政府庁舎に向けてデモ行進をした。しかし、警官による厳重なガードを突破して庁舎内に侵入を試みたデモ参加者が催涙弾とゴム弾で撃たれ、3人が軽傷を負った。
(PIR, 2002. 7. 3)
 
南部地方州議会、さらなる鉱山開発権をカナダ企業に承認
 南部地方州議会は、7月5日、プロニー地区の追加的なニッケル鉱山権をカナダ企業インコ社に与えることを承認した。インコ社はすでに同じく南部の都市ゴロで操業することが決まっており、この許可によってむこう5年間で3500万ドルを投資することを確約している。その結果、同社は年間18万トンにまでニッケルの生産高を高めることができるとしている。しかしながら、このカナダ企業への許可は、ニューカレドニアの資源を海外企業にただで与えるようなものであるという痛烈な非難がFLNKSをはじめ先住民系の政党グループからなされている。
(PIR, 2002. 7. 11)
 
住友金属、ゴロのニッケル鉱山会社の25%の株式を購入
 現地日刊紙レ・ヌーヴェル・カレドニーによれば、日本の住友金属株式会社が、本島グランド・テール島南部の都市ゴロのニッケル鉱山会社株式の25%を取得した。ゴロの鉱山会社は、カナダのインコ社によって運営されており、トロントにある同社本部はすでに住友金属との契約書にサインしたことを明らかにした。この事実により、フランスのエラメット社の子会社で現地企業のSLNがゴロの株主になるという見通しが消えた。この結果を受けて、先住民系の政党であるFLNKSは、強い懸念を表明している。FLNKSのスポークスマンであるトゥトゥゴロ(Tutugoro)氏は、現地で長年操業を続けているSLNを「ニューカレドニアの利益のよりよき擁護者」であると言及し、「これはニューカレドニアの利益が十分に考慮されていない異常事態」であると発言している。
(PIR, 2002. 7. 30)
 
◆サモア
 
ファレアルポ首長評議会、40名を追放
サヴァイィ島北西部に位置するファレアルポにおいて、信仰上の理由からこれまでにおよそ40名が村から追放されている。ファレアルポではカトリック、キリスト組合教会(Congregational Christian Church)およびメソジストが村公認の信仰とされており、追放者たちが信仰するバイブル・スタディは認められていない。そのため、彼らが建設した学校は評議会によって取り壊され、今回評議会の決定により村からの追放を宣告された。このため、ある者は他島に住む親類の下に身を寄せ、また、ある者は他島に渡ろうと港で船賃の物乞いをしているという。サモア憲法は信仰の自由と改宗の自由を保障し、恣意的な追放を禁止している。しかし他方で、現実のサモア社会はときに村評議会と伝統的慣習法によって治められている。とりわけ、首長であるマタイは、伝統的に自らが率いる部族集団アインガの信仰を統制する権利を持つとされている。
(PIR, 2002. 6. 18)
 
マグロ漁が好況
 5月からサモア近海のマグロ漁が好転している。5月半ばより好天に恵まれ、多くの漁船が長期出漁できたため、昨年11月から今年4月まで続いた1隻当り2〜5尾という不漁から一転して、5月以降ほとんどの船が40〜50尾の釣果をあげて帰港している。サモアにとって漁業は第二の主要収入源で、昨年は2千万USドルの収入をもたらした。
(PIR, 2002. 6. 25)
 
4つの海外重要ポスト、再任
サモアを取り巻く国際関係の中で重要な役割を担う国連大使、EU大使、オーストラリア高等弁務官、ニュージーランド高等弁務官の4つのポストが任期を迎え、再任された。今回再任されたのは、スレイド(Slade)国連大使、メレディス(Meledith)EU大使、キリフォティ(Kirifoti)オーストラリア高等弁務官、フェプレアイ(Fepuleai)ニュージーランド高等弁務官である。
(PIR, 2002. 6. 28)
 
◆トンガ
 
トンガ女王、タヒチを公式訪問
 トンガのツイタ女王が、7月14日、タヒチを公式訪問した。トンガとフレンチ・ポリネシアのさらなる関係緊密化を任務とした今回の訪問の中で、女王は真珠産業を視察するために、ツアモツ環礁の真珠養殖場を見学した。また、フレンチ・ポリネシアがトンガのサテライトを経由して3つの英語チャンネルを提供することをクック諸島テレコム社と合意した件に関して、フレンチ・ポリネシアの通信関係者と会談を行った。
(PIR, 2002. 7. 15)
 
無罪投獄者、政府に損害賠償を提訴
1996年に議会に対する侮辱行為で投獄された民主化推進派のポヒヴァ議員、トンガタイムズの出版者モアラ氏、および同社前編集長のアクウオラ氏の3名が、彼らの投獄が違憲であるとの最高裁判決によって釈放された後、政府を相手取り、損害賠償を求めて提訴した。同請求をめぐる訴訟は、7月31日より開始され、現在係争中である。
(PIR, 2002. 7. 31)
 
◆ツヴァル
 
国会選挙結果
7月25日、総計15名の議員で構成されるツヴァルの国会選挙が実施された。この選挙で、タラケ首相が彼の選挙区で9名の候補者中、最下位の得票数で落選したほか、コケ・マルア労働資源通信大臣が落選した。各選挙区の当選議員は以下の通りとなっている。
 フナフティ : カムタ・ラタシ(再)        ヌィ: アマソネ・キレイ(再)
         カウセア・ナタノ(新)           アレサナ・セルカ(再)
 ヴァイトゥプ: アピサイ・レレミア(新)     ヌクフェタウ: サウファトゥ・ソポアンガ(再)
         レティ・ペレサラ(新)              ファイマラガ・ルカ(再)
 ナ ヌ メ ア : シオ・パティアレ(新)      ナヌマンガ : ナモト・ケリシアノ(再)
          マアティア・トアファ(新)            オティニエルT・タウシ(再)
 ニ ウ タ オ : サムエルP・テオ(再)      ヌクラエラエ: ビケニベゥ・パエニゥ(再)
          サロア・タウイア(新)
(Tuvalu Online, 2002. 7. 26)
 
新首相にサウファトゥ・ソポアンガ氏就任
ツヴァル国会は8月1日、新首相にサウファトゥ・ソポアンガ氏を選出した。ヌクフェタク地区から再選されたソポアンガ新首相は、前タラケ政権下では大蔵大臣を務めていた。
(PIR, 2002. 8. 2)
 
ソポアンガ政権組閣
ツヴァルのソポアンガ新首相は、各省庁の大臣を指名し、組閣を完了した。入閣者およびその役職は以下のとおりである。
・マアティア・トアファ ― 副首相兼通信運輸大臣
・サムエルP・テオ ― 天然資源大臣
・ビケニベゥ・パエニゥ ― 財務経済企画大臣
・アレサナ・セルカ ― 保健教育スポーツ大臣
・サロア・タウイア ― 国会議長
(Tuvalu Online, 2002. 8. 7)
 

◆アメリカン・サモア
 
米軍、予備軍の司令部をタフナに建設
このほど、米軍は予備軍のためのアメリカン・サモア司令部を建設するために、タフナに6.5エーカーの土地を確保した。この建設予定地はパゴパゴ国際空港に隣接した場所で、その使用料はむこう55年間で106万ドルであり、6月20日、その使用料がロバート・リー軍司令官から現地のスニア知事に支払われた。司令部の建設費用は、2000万から2500万ドルにのぼるという。
(PIR, 2002. 6. 20)
 
首長の地位をめぐる法廷でDNA鑑定が請求される
首長の地位をめぐり、論議が紛糾している法廷で、DNA鑑定による証拠付けが請求されている。この訴訟は、マタイ称号の一つ「アヴァ」を求めて、多くの者が自らこそが真の継承者であると主張しているものである。議論が紛糾する中で、その主張者の一人であるアカポ氏は、弁護士を通して、その称号の前所持者の子孫であると主張している人々に、その証言が正当なものであることを証明するようにDNA鑑定を行うように請求した。しかしながら、アカポ氏が鑑定を受けさせたい主張者達は、いずれもこの申し出を拒否しているという。この訴訟は現在係争中だが、仮に裁判所がこの申し出を認めれば、アメリカンサモアの法廷でDNA鑑定が導入されたはじめての判例となる。
(PIR, 2002. 7. 9)
 
ファレオマヴァエガ米国議会準議員、アメリカ領の地位承認に関する住民投票を要求
アメリカンサモア代表のファレオマヴァエガ(Faleomavaega)米国議会準議員は、アメリカンサモアがアメリカ領であることを確定すべく、住民投票の実施を要求している。同準議員の要求は、非独立地域として国連にリストアップされていることに端を発している。すなわち、彼は、国連はアメリカンサモアがアメリカ領であることに不平を抱いているように捉えているが、現地の首長達の中にもアメリカンサモアはアメリカのコロニーではなく完全にアメリカの一部だと国連に伝えるべきだという意見があるという。準議員は、こうしたアメリカンサモアの意思を国連に表明するために、国連の監視の下でアメリカ領であることを確認する住民投票が実施されるべきであると主張している。
(PIR, 2002. 7. 23)
 
◆クック諸島
 
住民の政治不信、街頭調査で明らかに
1999年の総選挙以来、4回もの内閣改造が行われた激動の3年間を振り返って、クック諸島ニュース社がラロトンガ島の中心地アバルアで行った街頭インタビューで、多くの住民が政治不信を抱いていることが明らかになった。クック諸島ニュース社は、街頭で50名に対して次の3つの質問をした。すなわち、@1999年に選挙が行われて以来6月16日で3年になる。あなたはこの3年間の政治について満足していますか?A現在の第4次連立政権はこのまま任期満了を迎えることができると思いますか?できないとしたら、もっと早い時期に選挙を実施するべきであると思いますか?B次の選挙まで2年間ありますが、残りの期間内に政府に何をしてほしいですか?。
@の質問に対しては、全体の75%が満足していないと答えたのに対し、肯定的な解答をしたのは全体の10%にあたるわずか5名にすぎなかった。Aの質問には全体の58%に当る29人が今日の連立政権が任期満了まで続かないと感じており、そのうちの22名が早い段階で選挙をなすべきであるという意見であった。Bの質問に対しては、政府に期待することよりも、様々な批判的な意見が出された。たとえば、「政府は時間の浪費者だ」、「何ら生産的なことを行っていない」、「四六時中、計画を変えることだけしている」などの不満を表明する者もでた。その他、議員の任期である「5年は長すぎる」とか、「選んだ人々に対する忠誠を示せ」などの声もあがっており、住民の政治不信が高まっている。
(PIR, 2002. 6. 19)
 
ウーントン首相、プルトニウム運搬船を非難
核廃棄物を積載した船舶がこのほど日本を出港したのに対し、ウーントン首相はプルトニウム運搬船が太平洋を横断することに反対を表明した。首相は、日本からイギリスに向かうその有害物質の運送は、太平洋を不必要な危険にさらしていると発言している。
(PIR, 2002. 7. 10)
 
真珠産業が不況、養殖業者、政府にマーケティングを要求
 観光業に続き第二位の収入源となっている真珠産業が、市場価格の急落によって危機的状況に陥っている。この原因は、政府のマーケティング活動の欠落にあるとして、真珠養殖業者たちは、タヒチのような国際的なマーケティング活動を行うように政府に要求している。先の2日間で真珠産業が盛んなマニヒキ環礁から150人の署名が集まり、政府に請願がなされた。
(PIR, 2002. 7. 23)
 
◆フレンチ・ポリネシア
 
タヒチ人漁師、漂流4ヵ月後に救出される
 タヒチの漁師、タウアエア・ライオアオアさん(55)が、7月10日、4ヶ月にわたる漂流の後、クック諸島のアイツタキ島沖合いで救出された。3月15日に彼の操縦する25フィートの小型漁船が燃料切れし、750マイルもの距離を流された。その間、魚と雨水で漂流生活をしのいだが、漂流前70キロあった体重が救出当時49キロにまで減少していたという。
(PIR, 2002. 7. 15)
 
ムルロア・エ・タトウ協会、第一回総会を開催
20世紀にムルロアとファンガタファアで実施された核実験の問題に取り組むムルロア・エ・タトウ協会が、7月20日に第一回の総会を開催した。この集会には、フレンチポリネシアの両実験地で雇用されていた労働者およそ500人が参加し、海外からも多くの被爆者、専門家、反核運動団体関係者が招待され、日本からも長崎の原爆投下からの生存者奥村英二氏、木原省治氏他、原水禁の代表者が招待された。この総会において、同協会活動の優先事項として、実験地の近くに居住する住民や実験従事者とその子孫に緊急の医学的調査を実施するとともに、医学的研究を進めるべくフランス政府に実験関係書類の開示等を強く要求することが決議された。
(PIR, 2002. 7. 25)
 
◆ピトケアン
 
性犯罪容疑者、人口のおよそ半数に増加
シドニー・モーニング・ヘラルド社の報道によれば、1999年に同島で起きた少女強姦事件に端を発した一連の性犯罪の容疑者が、今日まで20名に増えて続けている。現在のピトケアンの全住民は44名であり、住民のおよそ半数が裁判を受けることになると見込まれている。同島で裁判が行われれば、1897年の殺人事件判決以来、実に105年ぶり2回目の出来事となる。
(PIR, 2002. 7. 17)
 
◆ニウエ
 
財政危機
ニュージーランド国際放送の報道によれば、ニウエ政府が深刻な財政難に直面していることが明らかになった。その主たる要因は、ニウエの電信会社Q-Tel社がおよそ75万USドルの使用料を支払っていないためである。この結果、ニウエ政府は賃金の20%相当のコストが削減できない場合、7ヶ月以内に賃金の支払が不能になることを確認している。
(PIR, 2002. 7. 10)
 
◆トケラウ
 
テ・ヴァカ、音楽活動でスエィンズ島問題を喚起
 トケラウで人気のある音楽グループであるテ・ヴァカが、彼らの曲ハロア・オロヘガの中でスエィンズ島のトケラウへの帰属の思いを込めて音楽活動を続けている。スエィンズ島は、1980年にニュージーランドとアメリカの間で締結された海洋境界線に関する条約によって、今日、アメリカン・サモア領となっている。同島は、曲名にもあるオロヘガとトケラウ人の間では呼ばれており、トケラウの南方およそ100マイル、アメリカン・サモアの北方224マイルに位置している。そうした地理的状況から、スエィンズ島はトケラウに帰属すると考えるトケラウ人が多い。そんな彼らの心情が今日音楽を通して静かに喚起されている。
(PIR, 2002. 7. 4)
 
◆キリバス
 
国民の半数以上が貧困生活水準、アジア開発銀行調べ
オーストラリア放送局の報道によれば、アジア開発銀行の調査でキリバス国民の半数以上が貧困生活水準にあることが報告された。アジア開発銀行は、太平洋における貧困削減に関する政策の一部として、首都のある南タラワ地域とその他の地域を別基準で貧困所得線の調査を実施した。その結果、全国民の50%から最大で69%が、貧困の中で生活していると報告されている。
(PIR, 2002. 6. 27)
 
◆ナウル
 
中国との外交関係に関する共同声明に調印
 ナウル政府は7月21日、中国政府と外交関係樹立に関する共同声明書に調印した。この声明によってナウル政府は、中国は世界で一つであり、中国政府が全中国を代表し、台湾は中国の不可譲の領土であることを承認した。この結果、2002年7月21日をもってナウルは台湾との外交関係を断絶した。
(PIR, 2002. 7. 23)
 
◆ミッドウェー
 
フェニックス社完全撤退
1996年より、米国魚類鳥獣保護局との契約で現地の観光開発に携わってきたミッドウェー・フェニックス社が、本年3月、高コストを理由に同島から完全に撤退した。フェニックス社の撤退に伴ない、同社の従業員150名がミッドウェーを離島した。今日、同島に滞在するのは保護局の関係者および生物学者およそ30名であり、新しい観光業社の参入が模索されている。
(Honolulu Starbulletin.com, 2002. 6. 24)
 
◆グアム
 
観光業回復の兆し
昨年9月にアメリカ本土で発生した同時多発テロの影響で急激に減少していた観光客数が、本年5月回復の兆しを見せている。すなわち、グアムを訪れた観光客数が、昨年の同時期に比べ今年1月が30%減少、同様に2月が19%、3月が17%、4月が24%減であったのに対し、5月は昨年比2%減少という水準にまで回復した。これは、韓国からの定期便の増加によって韓国人観光客の数が昨年の5月に比べ、55%も増加したためである。他方で現在もグアムの観光客の大部分を占める日本人旅行者は、昨年5月比で16%下回ってはいるものの、本年4月に比べ5万3千人から6万3千人へと大幅に増加した。こうした観光業の回復をさらに安定させるべく、グアム観光局はアジア諸国で積極的なマーケティング活動を展開している。
(PIR, 2002. 6. 17)
 
2003年度協定関連補助金、558万ドル
グアム政府が毎年連邦政府から受けている協定関連補助金(Compact Impact Aid)の来年度分が、558万ドルで承認された。この補助金は、アメリカとミクロネシア連邦およびマーシャル諸島の間で合意された自由連合協定の発効によるグアムへの影響を支援する目的で設けられたものである。協定の発効によってミクロネシア連邦およびマーシャル諸島の住民がアメリカへの移住を許可されたため、最も近いアメリカ領であるグアムへの移民が増加した。そのため、移民がグアムに与える社会保障および教育上の影響に対処するため本土から援助されているものである。同補助金は1996年から拠出されており、グアム政府は、1996〜1999年は毎年458万ドル、2000年は758万ドル、2001年は958万ドル、そして今年は638万ドルの補助を受けてきた。
(PIR, 2002. 6. 27)
 
ハーモンの旧軍用地、グアムに返還
グアム国際空港の北部の町ハーモンにあった米空軍の旧軍用地の一部がグアムに返還されることになった。今回返還されるのは、862エーカーにのぼる広大な土地で、譲渡証書が、7月1日、サンフランシスコの政府財産処分局からグアムの伝来地委員会(Ancestral Lands Commission)に郵送された。今後、同委員会によってそれらの土地が元来の所有者とその子孫達へと返還されることになっている。
(PIR, 2002. 7. 2)
 
台風の被害、公共施設だけで5990万ドルに
7月上旬にグアムにを上陸した2度の台風は、現地に深刻な爪痕を残している。現地の防災事務所の調べによれば、7月5日の台風で、5590ドル相当の被害が確認されている。しかもその数値は、公共施設のみを対象とした見積もりであり、これに私立の学校や民間企業など、一般の被害を累積すると莫大な損害になるものと予想されている。
(PIR, 2002. 7. 19)
        
第二次大戦時の日本刀、グアムに帰島
第二次大戦中、グアムに駐屯していた退役軍人が、当時グアムのジャングルで発見した日本刀をグアムに返還した。この日本刀は当時海軍の電気技師としてグアムに渡っていたラルフ・ペイトン氏(78)が、サンタロサ近くのジャングルで3丁の日本軍の銃と共に発見した物であり、そのあまりの美しさに刀だけを駐屯地に持ち帰った。その後、1948年に本土に帰国する際、その刀も隠し持ち帰った。彼によればその刀は1490年代に作られた物であるという。同氏はその刀をグアムの博物館に寄贈した。
(PIR, 2002. 7. 22)
 
◆北マリアナ諸島
 
ババウタ知事、小泉首相と会談
 8月28日にババウタ(Babauta)知事は日本で小泉首相と会談の予定。現職の知事が日本の首相と会うのはこれが初めて。ババウタ知事は主に観光産業問題について日本の理解を求め、発展の可能性を探る。一つは新航路の設置についてであり、サイパンにとって未開発の市場である北海道−サイパン間の航路をターゲットに挙げている。二つめにサイパン行きの日本航空のキャパシティ削減措置は観光客数に悪影響を与えるとの懸念を表明する。
 また、9月23日に日本政府は米国政府と観光、投資、商業関係の強化に関する協定を結ぶ予定だが、その恩恵に北マリアナもあずかりたいと述べている。
(PIR,2002.8.10/27)
 
水質汚染問題
 7月9日、スマイリング・コベ・マリーナ(Smiling Cove Marina)に数百の魚の死骸が浮いているのが発見された。原因は工場の廃水による水質汚染と思われる。サイパンでこのようなことがおきたのは二度目で、土地・資源局(DLNR)は当海岸を漁業禁止とし、調査を米国の研究所に依頼した。
 またサイパンの地下水の汚染も問題となっている。タナパゴ行動団体(Tanapago Action Group)と公衆衛生局は、環境局の調査結果に基き、地下水の汚染の主たる原因は衣料工場とランドリー会社の工場廃水だとし、浄化処理のために工場使用料を引き上げるべきだと述べている。しかし政府はいまのところ使用料引き上げも罰金措置も考えていない模様である。
(PIIR,2002.7.11/24/26)
 
サイパン観光状況の改善を約束
 NHKが観光番組でサイパン(特にガラパン地区)の現状を、海岸は汚く、安全性にも疑問があり、観光客からの盗みが多発していると放送したことを受けて、26日、ババウタ知事はマリアナ観光局の年次会合で、観光客の安全回復と環境保護を最優先事項として必要な措置をとることを宣言し、日本領事にも伝えたことを明らかにした。
(PIR,2002.7.29)
 
◆パラオ

日本と交換学生プログラム
 8月2日から8日まで、パラオ・日本両政府による世界青少年交換プログラムにより、約90名の日本人学生がパラオを訪れ、観光や文化交流、地元の学生とのスポーツを楽しんだ。一方、パラオからは少なくとも12名以上の小学生が日本を訪れ、ホストファミリィーのもとに滞在、観光や各種行事に参加した。また7月26日の青少年スポーツフェスティバルにはパラオから16名の高校生が参加した。マリオ・カトサング教育大臣は、両国の絆を深めるこのプログラムを続けたいと語った。
(PIR,2002.7.18)
 
5月の観光客数減少
 パラオ観光協会によると、5月にパラオを訪れた観光客数は、4,002人で昨年の4,545人から12%減少した。4月に10%の増加を示していた台湾人観光客の45%減少(737人)が大きく影響している。日本人観光客も3%の減少(1,421人から1,385人)を示している。
 しかし、ヨーロッパからの観光客は63%、中国人観光客は29%、韓国人観光客は84%の増加となった。
(PIR,2002.7.12)
 
移民法修正案可決
 移民に関する法律―特に入国拒否の基準についての権限を大統領に与える法案が議会で可決された。この法案は外国人の入国許可問題に関する権限を、米国政府からパラオ大統領に移すことを要求しており、これにより米国政府の承認なくして入国拒否・取り消しの決定が下せるようになり、信託統治領時代の名残である入国許可申請免除に関する条項などは廃止になる。
(PIS,2002.7.25/30)
 
一院制移行案をめぐり議会分裂
 トミー・レメンゲソウ大統領提出の憲法修正案をめぐり対立が続いている。第一は「立法府の一院制への移行案」で賛成6反対7欠席3。6州の賛成の理由は、一院制導入による立法過程の短縮と経費削減であり、これに対して7州はチェツクアンドバランス機能の喪失と議員数の減少で不公平を招くことを理由に反対している。第二は「大統領、副大統領の候補者のランニングメイト制(single ticket 制)の導入」で、賛成13反対0欠席3で支持が多数。支持の理由は官間の協力関係が促進され選挙運動費が削減できることで、これに対し反対派はランニングメイト制は政党を作り、大統領の権限強化につながると述べている。その他の修正案では「二重国籍を認める法案」はほとんどの州が支持しているが、「パラオ語版憲法を英語版に優越させる修正案」と「銃火器に関する罰則の軽減案」は1州のみの支持となっている。
 憲法修正は各院議員の75%の賛成が必要である。
(PIR,2002.7.31)
 
パラオで環境会議
 6月28日、パラオと米国環境保護機関によって開催されていた太平洋諸島環境会議が閉幕した。テーマは「伝統の現代技術との融合」で、諸島コミュニティが行ってきた彼らの天然資源の伝統的な管理方法を現代技術にどう生かすかに焦点が合わせられた。「伝統的リーダーシップと現代的リーダーシップのスタイル」「環境教育」「拡大し持続しうる計画立案」等の包括的セッションのほか、「保護地域」「飲み水と汚水」「リサイクル」「汚染調査」等の具体的な技術セッションも開かれた。参加者からは開発に対する疑問も多く発せられた。
(PIR,2002.6.19/27/7.1)
 
東ティモールと外交関係締結
 パラオ政府スポークスマンは、フィジーで行われていた太平洋諸島サミット中にパラオは東ティモールと合意に至り、国交を樹立をしたと発表した。両国はただちに漁業や、公務員の訓練などの雇用問題を含む協力範囲について話し合う予定である。
(PIR,2002.9.5)
 
◆ミクロネシア連邦
 
第二回ミクロネシア酋長会議
 7月15日から18日、ポンペイにおいて第二回酋長会議が開催され、ミクロネシア連邦、グアム、北マリアナ諸島、キリバス共和国、マーシャル諸島共和国、ナウル共和国、及びパラオ共和国の島々から100名以上の酋長、政府関係者が集まった。会議は3年ごとに開催され、伝統的リーダーの役割りや文化の再確認、健康や教育などのコミュニティ問題について政府関係者と酋長に話し合いの場を提供している。保健・教育・社会問題局のミディオン(Midion G.Neth)氏は、伝統や文化は生活の中心であり、住民の生活単位である島や共同体を特徴づけ、アイデンティテイを与えている。一方、政府はミクロネシアの島々を国際社会に調和させる努力をしており、この会議はこの二つのシステム(伝統と政府)の社会における役割りを調整する役目を担っていると、述べている。
 「ニューミレニアムにおける酋長の役割り」のテーマにそって採択された公式宣言は以下のとおり。
・ 立法や司法の適切な分野において、酋長の役割りを規定するために憲法、法律を修正すべきである。
・ 公立、私立を問わず、すべての学校で固有言語、習慣、文化を教育・使用するとする法律を実施すべきである。
・ 主要な環境計画に関する第一の情報機関として酋長やコミュニティリーダーを含めるとする法律を実施すべきである。
・ 酋長は過去500年間に外国によって持ち出された文化遺産を帰還させる役目を担っている。
・ 公的施設・機関における固有言語の使用と優位性を明確にするよう、憲法及び法律を改正すべきである。
・ 酋長やコミュニティリーダーが伝統に関する問題を採決する伝統裁判所について規定した特別法の具体化。
 第三回酋長会議は2005年にヤップで開催の予定。
(PIR,2002.7.15/23)
 
ミクロネシアンゲーム開催
 7月21日から30日までポンペイで第五回ミクロネシアンゲーム(競技会)が開催され、ミクロネシア全域から約1000人の選手、関係者が集った。この競技会は4年ごとに行われ、競技を通じて島の共通性と連帯の再確認の場となっている。第一回は1969年、米国信託統治下の北マリアナのサイパンで開催された。第二回は独立移行のため21年間の休止の後1990年に、こんどはコモンウエルスとしてのサイパンで再開された。その後、第三回はグアム、第四回はパラオ、そして今回のミクロネシア連邦と順調に開催されている。
(PIR,2002.7.23)
 
チュ−ク州、サイクロンで死者47名
 7月1日から2日にかけてチュ−クを襲った「チャタアン=Chataan」サイクロンは30個所以上もの地すべり、数百の家屋倒壊を引き起こし、死者47名、負傷者71名、行方不明者多数など深刻な被害をもたらした。この事態に対し、日本政府はJICAを通じ、8万4千ドル相当の緊急援助物資を供与した。またパラオ政府は、ミクロネシア連邦政府の要請に答え、医療チームを派遣する予定。北マリアナ政府も、医療物資のほか、ダンプカー、掘削機、ブルドーザー等を届ける予定。
(PIR,2002.7./13.23/8.14)
 
ウォッジェに新発電所
 台湾の資金供与で、新しいディーゼル発電所がウォッジェの環礁に建設中である。これにより離島で初めて電気が使えるようになる。この設備は環礁の800人に550キロワットの配電が可能だが、島のほとんどの場所はまだ電線がひかれていないので、電力会社は地下ケーブルを各家庭や職場、学校、教会に敷設した。
(PIR,2002.9.3)
 
◆マーシャル諸島
 
マジュロのごみ危機
 マジュロを最近訪れた環境調査チーム(在サンディエゴ)の報告によると、マジュロ市の廃棄物処理能力は限界に達している。現在の埋立地の状況からすると、数ヶ月以内にはパンクすることは確実であり、新たな埋立地計画が早急に必要となっている。その他、廃棄物による環境汚染を防ぐため廃棄場の密封処理、水質検査・土壌検査の開始、適切なごみ管理についての公教育の強化、廃棄物埋立地から発生する有毒ガス調査とその対応策の確立、ごみ削減とリサイクル・堆肥化の積極的取り組みなどが提言された。米国の推奨する大型焼却炉の代わりに、欧州や日本で使用されている、廃棄物利用エネルギー施設が検討されている。
(PIR,2002.7.19)
 
オスカー・デブラム氏死去
 7月24 日、オスカー・デブラム氏(最も最近では核実験賠償請求裁判の議長−chairman of the Nuclear Claims Tribunal)が73歳で死去した。ケサイ・ノート大統領は、50年にわたり政府の要職を歴任し国家に尽くしたデブラム氏の死を悼んで、国家として一週間の喪に服すことを宣言した。
(PIR,2002.7.25)
 
米国政府、地主の要求を拒否
 米国政府は、クワジェリン・ミサイル基地使用に対する土地所有者の要求を退けた。クワジェリン土地所有者は現在年に1100万ドル以上をレンタル料として受け取っているが、さらに年に1億ドルを生む信託基金を想定し、50年延長使用料として20億円を要求していた。米国側は2043年までの基地使用延長には関心があるが、現在以上の使用料を支払うつもりはないと述べている。
(PIR,2002.7.22)
 
平和記念館計画が進行中
 日本の協力で、マーシャル諸島平和記念館建設の基金調達が進められている。この記念館は、1954年のビキニ環礁核実験から50年にあたる2004年までに完成する計画である。計画の推進者には、マーシャル諸島の被爆者と共に、ビキニの核実験に巻き込まれた福竜丸の生存者や広島・長崎の被爆者も含まれている。
(PIR,2002.5.27)
 
不法滞在者対策で観光ビザの発給を停止
マーシャル諸島政府は、急増する不法外国人問題に対処し、アジア人の観光ビザ取得を一次停止している。移民局によると、31人のアジア人不法滞在者に国外追放警告が発せられており、さらに数10人の不法滞在者がいるもようである。観光ビザで来島し、仕事に就くアジア人不法滞在者は90年代後半からマジュロで大きな問題となっており、移民局は監視を強化している。同局は比較的簡単な来島手続きが問題であるとして、規則の改正を考えている。
(PIR,2002.8.12)
 
フランスの援助増加
 第二次大戦以後、マーシャル諸島は米国の援助地域であり、フランスからの援助はこれまでほとんどないに近かったが、今後重要なエネルギー開発の援助国になりそうである。マジュロを訪れているジャン・ピエール・ヴィドン仏大使は、フランスはEUの主要出資国であり、エネルギー技術輸出国である。フランスこれまで援助国ではなかったが、数年のうちにフランスの存在を経験することになるだろうと語り、ソーラーシステムを主とするエネルギー開発計画の概要を明らかにした。
 
 
バンク・オブ・ハワイ、4支店を閉鎖
 バンク・オブ・ハワイは昨年、経営方針の見直しの結果、南太平洋の支店の売却を決めていたが、売却先が決まらず、マジュロ、ポンペイ、コスラエ、ヤップの4支店を1130日に閉鎖すると発表した。
(PIR,2002.8.21)
 
日本政府、援助プロジェクトの審査を厳格化
 日本政府はマーシャル諸島への援助を今年は10%削減し、アカウンタビリティの確立のため、援助基金の審査を厳格にすると発表した。林臨時代理大使は、日本国内の経済危機や失業問題も海外援助の見直しの一因であると述べている。過去6年間に日本はマーシャル諸島共和国に220万ドル以上を供与し、数千万ドルのインフラ開発を行ってきている。
(PIR,2002.8.23)
 
ホノルルでコンパクト交渉
 マーシャル諸島共和国と米国のコンパクト交渉の公式ラウンド会談がホノルルのハワイアンヴィレッジで持たれた。828日のオープニングセッションではジェラルド・ザッキオス(Gerald Zackios)外相率いるマーシャル諸島交渉団と、米国コーネル・アル・ショート(Colonel Al Short)の会談が行われた。二日目の午前には、核実験による被爆4環礁の代表が米国代表と会談し、午後は法律施行協定について話し合われ、最後にクワジェリン基地補償要求で締めくくられた。両関係者共に成果を認めており、すぐに合同コミュニケが発表されると思われる。
(PIR,2002.9.3)